2013 Fiscal Year Annual Research Report
無線情報エネルギー伝送技術を用いた再使用宇宙機用ワイヤレス安全監視システムの研究
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23246148
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
川崎 繁男 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (40266367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲谷 芳文 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (10168403)
丸 祐介 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (20524101)
三田 信 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (40370100)
成尾 芳博 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (70150050)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | ヘルスモニタリング / ワイヤレスセンサーネットワーク / 無線電力伝送 / Fly-by-Wireless |
Research Abstract |
H25年度においては、ハイブリッド集積回路によるセンサICタグ、同じ集積回路技術による小型基地局とそれらの制御、センサデータ通信、および、無線電力伝送をコントロールするファームウェアおよびデータを表示するソフトウェアの試作を行った。センサデータ送信用としての使用周波数は、ISMバンドの中のL/S/C帯(920MHz, 2.4GHz, 5.8GHz)を、また、マイクロ波送電用には、同じくISMバンドのC帯(5.8GHz)を用い、センサタグ・基地局のハードウェアは、この動作周波数帯を考慮して試作した。 センサとして温度、圧力、ガス(水素)の3種類を備え、各センサに小型の送受信器を装備し、それぞれ基地局を対応させ、マルチセンサとして制御しPC上でモニターできることを電波暗室の実験と、再使用ロケット実験機(Reusable Vehicle Test : RVT)で確認した。さらに5.8GHzで動作するマイクロ波電力伝送(Microwave Power Transmission : MPT)を用いた送電器・受電器を試作し、センサタグに装備する小型バッテリーの充電が可能であることを実証した。自作したMPT用高効率20W級GaNアンプは、電力負荷効率47%、アンテナは小型薄型パッチアンテナで単素子と2 種類のアレーアンテナを試作した。 通信ソフトウェアの検証では、100Hzでのデータ更新の動作のもとで、各センサのデータがPC画面上に表示される(表示データは温度、圧力センサは4秒毎、ガスセンサは1秒に更新)ことを確認した。 今年度の実験では、センサタグの動作に必要な全電力に加え、データ伝送を行いながら余分の送電電力を用いてバッテリー充電を行うことに成功した。このことは、今後の高度な安全・安心を求められる再使用宇宙機運行に、本研究の成果が大きな貢献をなすことを意味するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基地局側でMPTとして使用する5.8GHz帯20W級高出力電力増幅器の設計、試作、評価を行い、電力負荷効率47%、最大出力30.2Wの高性能が得られた.センサ側デバイスは,最大160mWのDC電力出力のレクテナとしての動作を確認した。なお、水素ガスセンサについては、警報としての用途から速報性が重視されるため、ある閾値(濃度1%)を越えたら1秒以内に報知するシステムとした。MPTの周波数は5.8GHzに固定し、通信の周波数を920M, 2.4G, 5.8Gの3つの場合について実験し、すべてのセンサで良好なデータ伝送ができた。また、同一モジュールよるマイクロ波電力伝送により、センサタグが動作し、余剰送電電力でバッテリーに充電することを確認できた。 ソフトウェア面としては温度、圧力、ガスセンサそれぞれに対し、今回の試作では1フレーム内に各々のデータ収納用チャンネルとして割り当て、さらに、マイクロ波電力伝送が時分割で送電できるように各チャンネル内に割り振られている。DSP内臓の小型送受信機を用いて、RSSI(Received Signal Strength Indicator)およびPER(Packet Error Rate)を測定し、問題なく表示できた。 機能確認のための基礎試験の通信機能に関して、電波暗室内,RVT内いずれも問題なく通信が行えた。MPTの実験ではバッテリーの充電実験を行い、整流器の出力電力は最大160mW程度であり、要求値をクリアすることが分かった。さらにMPTと通信の両立可能性に関する実証実験においては、通信の周波数が920M, 2.4G, 5.8Gの全ての実験においてデータ通信とMPTを両立が可能であった。特に通信周波数が2.4GHz,アンテナ間距離80cmの場合には整流器出力電力158.3mW,RSSIは-57dBm,PERは0%(通信データパケットエラーなし)であった。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度が、本研究の最終年度である。H25年度までの研究でやり残した課題を実施していく予定である。H26年度は、試作したセンサICタグ,基地局,通信制御ソフトウェアを用いたヘルスモニタリングワイヤレスセンサシステムをRVTに搭載して、システム機能確認試験を実施する。H27年度以降の研究推進は、受電用レクテナを集積化した送受信機付センサタグやMPT用コンパクト送電器・受電器の実現に向けた研究を実施していくつもりである。このため、本研究のアウトプットとして宇宙機に搭載する各モジュールの熱真空や振動試験、放射線試験などの宇宙環境試験に耐えうる環境試験用のワイヤレスセンサシステムを試作するとともに、H25年度で試作したセンサタグの1/3程度の大きさ、センサタグの消費電力を100mW以下になるように、さらなる小型高効率化、センサの省電力化のため、基盤研究(S)にアプライする予定である。
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Research Products
(25 results)