2012 Fiscal Year Annual Research Report
潮汐性産卵の時刻合わせに関与する魚類の脳内分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
23248033
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
竹村 明洋 琉球大学, 理学部, 教授 (40222103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 俊行 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40272471)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サンゴ礁 / 潮汐 / ベラ / 遺伝子 / 環境 / トラフグ |
Research Abstract |
本研究では、満潮前後で毎日産卵を繰り返すミツボシキュウセンと大潮で産卵するクサフグやトラフグを主たる実験材料に用い、潮の情報が内因性のリズムに転換されて産卵にまで至る道筋を明らかにすることを目的としている。前年度に終了できなかったミツボシキュウセンのmedaka typeの生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)前駆体遺伝子のクローニングを行い、この遺伝子の全塩基配列が285bpで、95アミノ残基をコードしていることを明らかにした。これによって、本種の脳内で発現が想定されるGnRH(chicken, salmonそしてmedaka type)の前駆体遺伝子クローニングが終了した。定量PCRで前駆体遺伝子の組織発現を調べた結果、medaka typeとsalmon typeは脳全体に、chicken typeは視床下部域に局在していた。 初年度のマイクロアレイにおいて、水圧の変化に応答したと考えられた遺伝子について定量的RT-PCRにより発現量を調べた。その結果、マイクロアレイで得られた結果が再現されたが、圧力応答に対する感受性に性差が影響する可能性が考えられた。これと並行して、トラフグ眼球由来の培養細胞を用い、潮汐産卵応答と密接に関わる光環境応答および内在的な測時機構を探る実験を行った。まず、トラフグ細胞に発現する時計遺伝子を同定し、さらに、様々な光条件下での発現解析を行った。その結果、多くの時計遺伝子が光応答性を示し、一部の時計遺伝子は概日性の発振を示した。この結果より光応答性および概日時計発振系がトラフグ眼球細胞に内在することが判明した。松果体についてもマイクロアレイを行う予定であったが、得られたRNA量が少なく、精製方法も含めて再検討中である。 トラフグで発現差が確認できた遺伝子についてベラ類でクローニングを開始し、いくつかの遺伝子について部分配列を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた生殖関連の遺伝子や潮汐関連の遺伝子候補のクローニングがほぼ終了し、今後は環境変動による発現研究へと進むことが出来るようになった。また、遺伝子発現の結果を再現するためにトラフグのサンプリングを急遽追加したが、韓国済州大学海洋環境研究所の協力で無事に終了することができた。解析は来年度になるが、入手が比較的困難なサンプルを使っていることを考慮してもこの点は評価できよう。
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Strategy for Future Research Activity |
候補遺伝子をほぼ特定できつつあるため、環境付加した実験室レベルで再現することに主眼を置きたいと考えている。なお、候補遺伝子の見落としも考えられるため、マイクロアレイの解析を引き続き続行するとともに、発現差が小さい候補遺伝子にも注意を払いつつ、研究を進めていきたい。
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Research Products
(6 results)