2012 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性TRPM2チャネルの活性制御機構と免疫応答への関与の解析
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23249012
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Research Institution | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
Principal Investigator |
富永 真琴 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90260041)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生理学 / 神経科学 |
Research Abstract |
1) C57/black6系統マウスの腹腔マクロファージにおいて異所性発現系で見られたのと同じような過酸化水素による温度依存性細胞内Ca2+濃度上昇の感作が起こることを観察し、それがTRPM2欠損腹腔マクロファージでは起こらないことを確認した。 2) サイトカイン産生および放出能をELIZA法で解析し、ザイモサン投与後にG-CSF, CXCL2, IL-1αについて野生型腹腔マクロファージと比較してTRPM2欠損腹腔マクロファージで有意に減少していることを見いだした。CCL2, IL-1β, TNFαには差がなかった。 3) 36.9度で過酸化水素30mM添加で細胞内Ca2+濃度が有意に増加すること、温度を38.2度にあげるとさらに増加することがわかった。 4) ザイモサンの貪食能が野生型腹腔マクロファージでのみ1.5度の温度上昇で有意に増加することがわかった。 5) マウスに細菌感染させて生存率をみた実験と種々の臓器で増殖した菌体数を解析した実験では、野生型マウスとTRPM2欠損マウスで有意な差を観察することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス腹腔マクロファージでは、野生型マウスでみられた過酸化水素によるTRPM2の感作を介すると考えられる熱応答の著しい増強が観察され、それがTRPM2欠損マウスで観察されなかったことから、腹腔マクロファージはTRPM2の過酸化水素による感作の意義を観察する優れた系であると考えられ、複数の腹腔マクロファージ機能へのTRPM2の関与を発見することができたことは、大きな進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を踏まえ、次のことを進めたい。 ① 他のマクロファージ活性評価系の確立 抗原提示能(マクロファージにペプチド等を貪食させてMHC class IIの発現、T細胞活性化を解析)や遊走能(走化性因子によるマクロファージ移動速度をリアルタイムに計測) ② マクロファージ様細胞株におけるTRPM2機能の検討 マクロファージのモデルとして、マウス白血球由来細胞株であるRAW264.7細胞においてCa-imaging法、パッチクランプ法を用いて過酸化水素と温度の作用を詳細に検討する。 ③ マウス腹腔内マクロファージにおけるTRPM2関連機能の検討 レンチウィルスベクターを用い、野生型TRPM2、あるいは温度感作に重要なアミノ酸をアラニンに置換した変異TRPM2チャネルを、TRPM2欠損マウスから得たマクロファージに強制発現させた時の効果を検討する。また、野生型TRPM2チャネルを介したマクロファージ活性への効果が、温度上昇に伴って増強し、抗酸化剤の処置により減弱することを確認する。
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Research Products
(4 results)