2011 Fiscal Year Annual Research Report
出生コーホートを用いた妊娠中の大気汚染が妊婦及び出生児に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
23249034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
島 正之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40226197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷澤 隆邦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10126534)
赤谷 昭子(長谷川昭子) 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50212402)
澤井 英明 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80215904)
内田 暁子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00418964)
大谷 成人 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10561772)
小森 慎二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60195865)
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Keywords | 環境 / 大気汚染 / オゾン / 曝露評価 / コーホート研究 / 妊娠 / アレルギー |
Research Abstract |
胎児期及び乳児期における大気中微小粒子状物質及びガス状汚染物質への曝露が胎児の成長や発達に与える影響について国際的に注目されている。本研究は、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」により兵庫県尼崎市で実施されている出生コーホート研究を基盤として、妊娠中の大気汚染物質への曝露が妊娠の異常、胎児の成長や発達に及ぼす影響を解明することが目的である。兵庫医科大学倫理委員会の承認を得て調査を進めており、これまでに1,795名の同意を得た。 本年度は、大気汚染物質への曝露評価方法についての基礎的な検討を行うため、健常女性21名を対象として、オゾン個人曝露測定用のパッシブサンプラーを24時間装着してもらうとともに、自宅の屋外にもサンプラーを設置してオゾン濃度を測定し、対象者の居住地の近隣にある大気環境常時測定局におけるオゾン濃度との関連を評価した。家屋外オゾン濃度は平均18.5ppb、範囲4.7-38.3ppb、近隣測定局のオゾン濃度は平均16.2ppb、範囲9.5-20.2ppbであり、平均値に差はなかったが、濃度範囲は測定局よりも屋外濃度のほうが大きかった。個人のオゾン曝露濃度の平均は3.7ppbであり、屋外濃度よりもかなり低かった。対象者の家屋内にはオゾンの主要な発生源がないことから、主に屋外でオゾンに曝露されると考えられるが、屋外で過ごした時間とオゾン曝露濃度の間に相関はみられなかった。屋外のオゾン濃度は近隣の測定局の濃度と同等であったが、測定局が幹線道路近傍に設置されている場合は、オゾン濃度が周辺家屋の屋外濃度よりもやや低く、過小評価となる可能性が示された。 また、健康影響として、呼気を用いて気道のアレルギー性炎症を非侵襲的に評価できる方法の検討を行った。これらの成果を踏まえて、次年度以降の疫学調査で大気汚染物質への曝露とその健康影響を評価する方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の基盤としている「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の実施体制の確立に時間を要したため、本研究の達成度は予定よりもやや遅れているが、兵庫県尼崎市において、これまでに1,795名の同意が得られており、これらの参加者を対象として調査を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った大気汚染物質への曝露評価や健康影響評価についての基礎的な検討の成果を踏まえて、本格的な調査への導入を行う。調査への同意者数は順調に伸びているため、今後は妊娠中の大気汚染への曝露と妊婦の気道炎症及びアレルギーの病態との関連について検討し、さらに大気汚染と妊娠の異常、胎児の成長や発達に及ぼす影響についても検討し、大気汚染をはじめとする環境因子が胎児・出生児に与える複合的な影響を明らかにする。
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Research Products
(13 results)