2013 Fiscal Year Annual Research Report
出生コーホートを用いた妊娠中の大気汚染が妊婦及び出生児に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
23249034
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
島 正之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40226197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷澤 隆邦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10126534)
澤井 英明 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80215904)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 出生コーホート研究 / 大気汚染 / オゾン / 微小粒子状物質 / アレルギー / 妊娠 / 気道炎症 |
Research Abstract |
本研究は、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」として兵庫県尼崎市で実施されている出生コーホート調査を基盤として、妊娠中の大気汚染への曝露が妊娠の異常、胎児の成長や発達に及ぼす影響を解明することを目的としている。平成25年度末までに、5,180名の妊婦よりインフォームド・コンセントを得て、既に4,000名以上が出生している。平成25年度は、妊婦の炎症状態と大気汚染物質への曝露の評価を行った。 エコチル調査に参加した妊婦より妊娠前期に採取された血清を用いて、炎症反応の指標である高感度C反応タンパク(hs-CRP)と、アトピー性皮膚炎の指標であるthymus and activation-regulated chemokine(TARC)の測定を実施した。検査を実施できたのは717名であり、hs-CRPの平均±標準偏差は2571±4386ng/mL、最大値は45100ng/mLであった。10000ng/mL以上のものが34名、5000~9999ng/mLのものが58名であり、妊娠中のhs-CRPはかなり高値を示すことが明らかとなった。TARCの平均±標準偏差は143.6±42.4pg/mL、最大値は462pg/mLであり、成人の基準値である450pg/ml以上の者は1名のみであった。 大気汚染物質への曝露評価として、妊娠中の参加者20名を対象に、家屋内外に小型の測定器を設置して、大気中の粒子状物質を粒径2.5μm以下の微小粒子と2.5~10μmの粗大粒子に分級捕集した。捕集は平日と週末にそれぞれ48時間ずつ実施し、同期間の地域内の大気環境測定局におけるデータと比較した。PM2.5の屋外濃度の平均±標準偏差は、平日9.4±3.4、週末12.2±5.6μg/m3であり、測定局における濃度との相関が非常に高かった。屋内濃度の平均±標準偏差は、平日8.6±4.6、週末11.2±5.6μg/m3であり、屋外濃度とほぼ同じであったが、高濃度を示した家庭もあり、屋内の発生源の影響が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査の参加者は順調に得られており、健康影響評価、大気汚染物質への曝露評価も順次実施していることから、全体としてほぼ予定通りの進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本研究の最終年度であり、対象者の曝露評価に関する調査をさらに継続するとともに、その結果より、全参加者を対象に曝露量を評価するためのモデル開発を行う予定である。さらに、本研究の基盤となるエコチル調査で得られる妊娠の異常、出生時体重等のデータを活用して、妊娠中の大気汚染への曝露との関連についての検討を進める計画である。
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Research Products
(8 results)