2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23252008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
薛 進軍 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40262399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厳 善平 同志社大学, 大学院グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (00248056)
戴 二彪 公益財団法人アジア成長研究所, 研究部門, 主席研究員 (20300840)
萬行 英二 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30421233)
安達 貴教 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50515153)
園田 正 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60329844)
本台 進 神戸大学, 国際協力研究科, 名誉教授 (70138569)
柳原 光芳 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80298504)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 労働移動 / 所得格差 / ルイス転換点 / クズネッツ転換点 / 中国 / CHIP / 国際比較 / ミクロデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,中国で実施されるパネル調査に参加し,得られたミクロデータに基づいてルイス転換点とクズネッツ転換点を検討し,それらが中国経済と国際経済に与える影響を分析することを目的とする。 今年では,まず,世界銀行本部において「Global Povertyと不平等尺度に関するワークショップ」を開催し,世界銀行のShaohua Chenらの専門家が,今まで利用されてきた絶対貧困尺度の問題点を検討し,相対貧困と所得格差に関する新たな接近法を提案した。また、メリーランド大学のH. Klausらは所得と環境の不平等の関係の研究を報告した。Thomas Masterson氏はリーマンショック後のアメリカにおける所得格差の最新動向を分析した。研究代表者と分担者は,CHIP等の最新データに基づく所得格差と労働移動の関係,余剰労働の消滅と所得分布の変化の関係,出稼ぎと地元賃金労働への就業が作物生産に及ぼす効果の違いなどの分析結果を報告した。 また,薛・厳・本台が執筆した「中国の都市・農村所得格差」、「上海における労働市場の転換」、「インドネシアにおける貧困と農業余剰労働」という論文(研究協力者の南亮進らが編集した『中国におけるルイス転換点』に収録)では、所得格差と労働移動・貧困・労働市場の健全化との関係について分析し、転換点の達成に必要な条件を提示した。 さらに、薛らは英誌『中国経済レビュー』に発表した論文で、中国都市労働調査2005-2010のデータを利用し、出稼ぎ者を代表とする非正規労働者と都市戸籍を持つ都市労働者の賃金格差を推計し、その差は都市部の所得格差の主な原因であることを指摘し、都市労働市場の健全化を提案している。また、厳らが『アジア経済』に発表した論文では、CHIP1988-2002の個票データや上海市の事例を用い、戸籍差別は都市・農村間の教育格差の起因となることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き,新たなに入手したCHIP2007-2010やCULS2010などのデータを使用し,分析を進みながら,論文の作成を行っている。また,世銀での共同シンポジウムとワークショップの開催を通じて,新たな協力者も増えるとともに,個票データ・マクロデータ・世銀・WIODデータなどのデータを用い、労働移動と所得格差・相対貧困と所得格差・環境問題と所得格差などの視点から、ルイスの労働移動転換点、所得分配のクズネッツ転換点および環境クズネッツ転換点を検証し,広義の定義から当初の課題の解決へ向けて順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに入手したCHIPデータには整合性の問題があるので今年はデータの整理を行い,転換点の分析を中心に研究を進める。また,すでに入手した他国データを利用し,国際比較を通じて課題の解決を図る。特に、マリランード大学のFENG・Klausと薛は,所得格差の角度から気候変動の問題を分析する「Income Inequality and Carbon Inequality」、薛とアジア経済研究所の孟渤らとの「グロバールサプライチェインからみる所得格差と越境環境問題」という共同研究をし始め、これから注目される研究成果を出せるつもりである。そのため、今年は各国から専門家を招き、「転換点を通過した中国経済」(仮)の国際会議を開き、最新の研究成果を報告する。さらに,会議の優秀論文を選び、今まで完成した研究成果と合わせて英語の本に編集・出版する予定である。さらに、研究成果に基づいて関連政府。国際機関に政策提案を行う。
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Research Products
(30 results)