2013 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける農業土木学的視点からのSRI栽培技術の比較と標準化手法の開発
Project/Area Number |
23255014
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝口 勝 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00181917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 永司 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (10143405)
小林 和彦 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (10354044)
吉田 貢士 茨城大学, 農学部, 准教授 (20420226)
土居 良一 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (20587125)
鳥山 和伸 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 研究戦略室, 専門員 (30355557)
横山 繁樹 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (30425590)
荒木 徹也 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40420228)
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 教授 (60311544)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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Keywords | SRI / 農業技術 / 灌漑排水 / 稲作 / 気候変動適応策 |
Research Abstract |
【モニタリング】昨年度に引き続き、同一基準で気象・土壌・水分ストレス・イネ生育に関するデータを収集した。また、日本のSRI農家と協力しながらモニタリング機器の改良した。 【実験・調査】(1)インドネシア:バリ島タバナン県において現地NPOのサポートによってSRIを2年間実施した後プロジェクト期間終了後直ちに元の農法に戻った地域を調査した。SRI水管理の特徴として、水稲の栄養成長期に飽水状態で管理し、生殖成長期には地 表面から数cm低い位置まで落水して好気的管理を行うという基本的な管理方法が明らかとなった 。また、インドネシア中部ジャワ州の調査対象村ではSRIの技術普及活動は行われていないが、地域のリーダー的存在である集落長の実践を模倣することで、 若齢苗の疎植栽培と好気的水管理が普及していることが明らかになった。(2)タイ:乾期と雨期にSRI区と常時湛水区で100品種の栽培を行って湛水区に比べてSRI区で収量が増加した品種を選抜した。SRIの要素を一部採用しているコメ生産者への聞き取り調査により、SRIの成立要因が収益等社会・経済的合目的性とバイオやローテクを中心とした実施可能性の高さ、環境や健康の保全等の包括的利益であることが明らかになった。(3)カンボジア:カンボジア南部の天水田地帯において、SRIを取り入れている農家とそうでない農家を対象として、インターバルカメラを用いた稲作作業時間の観測と、現地栽培実験および水稲収量調査を行った。(4)ラオス:ラオス大学農学部SRI圃場において、水管理の状況と米収穫量を調査した結果、乾燥期間が長い圃場において、より高い窒素吸収効率を示した。 【SRI農法の可能性に関する考察】J-SRI 研究会の活動を通して、伝統的農法とSRI農法の違いについて議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトメンバーは定期的にJ-SRI 研究会に集まり、議論をくり返している。そのために、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
タイやインドネシアにおける調査によると、必ずしもSRI農法だけが普及しているわけではなく、農家が諸々の条件に合わせて慣行農法とSRI農法を併用しているようである。そこで、今後は日本における慣行農法の調査も含めて、引き続き東南アジアにおけるSRI栽培技術の比較と標準化手法について調査検討する予定である。 (日本)国内のSRI実践農家の水田モニタリングを継続し、日本におけるSRI農法の可能性を検証する。また、対照実験として慣行有機農法の水田モニタリングを実施する。(インドネシア)一度SRIを試みながら、その後行わなくなった地域を対象にその理由、現在行われている農法、SRIとの比較を精査する。また、大学と農家が共同で行っているSRI栽培試験と普及活動の実態を調査すると共に、SRIと湛水の各水管理下で水稲の比較栽培試験を行い、どの収量構成要素にSRIの好気的水管理効果が現れるのかを明確にする。(タイ)昨年度に引き続きタイ国にカセサート大学の実験水田において、SRIに適した水稲品種の選別を行う。間断灌漑を実施するSRI区と常時湛水する従来区を設けて水管理を行う。実験期間中にそれぞれの実験区において土壌水分量、マトリックポテンシャル、水深を測定し、日射量、風速、気温、湿度を一カ所で測定する。選別には収量、温室効果ガス放出量、通気組織形状を元にして行う。(カンボジア)SRI普及の要因を解明するために、SRIの採用が稲作作業時間と水稲収量へ及ぼす影響に焦点を当てて、インターバルカメラによる作業時間のモニタリングを精密化してデータの蓄積を図る。(ラオス)大学農学部のSRI圃場において、気象要因、水管理、生産性に関する調査を行い、土壌中における水分状態の違いが物質動態に及ぼす影響を把握するとともに、作物成長モデルへの組み込みを行う。
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Research Products
(7 results)