2012 Fiscal Year Annual Research Report
シャーガス病の薬剤治療反応性を規定する原虫および宿主の遺伝要因解析
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23256003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60189868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN HUYTIEN 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (20457526)
奈良 武司 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40276473)
菊池 三穂子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (40336186)
柳 哲雄 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10174541)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シャーガス病 / ボリビア / ベンズニダゾール / 治療効果 / 遺伝子多型解析 |
Research Abstract |
目的:ボリビア国保健省のシャーガス病制圧プログラムと協力し、15 歳以下の小児の慢性感染患者に対するベンズニダゾールによる治療成績に影響を与える原虫および宿主側の因子を明らかにすることを目的として研究を行った。研究の進行状況:現地の拠点である保健省熱帯病研究センターCENETROP の分子生物免疫分野Yelin Roca室長、Rola所長と西沢医師(シラニ病院)、日本病院の Gutierrez外科部長を主たる研究協力者として、約一年の準備期間(現地の倫理委員会承認を含む)の後、当初企画した病院がサンプルの運搬などに不便であったため、県内の3つの近郊の病院を基盤とした本プロジェクト研究を2012年(平成24年)より実質上開始することができた。CENETROPの分子生物免疫分野を通しての現地スタッフの採用契約、さらにCENETROPおよび3つの地域病院の検査室の設備機器などのセットアップを行い、各病院それぞれ約30-40名のシャーガス病陽性小児のベンズニダゾール連日2か月投与による治療を行い、治療前、1か月治療後、2か月治療完了時、治療終了後2、4、6、10か月後の計7回の採血を行い、全血、および血漿を‐80°Cの冷凍庫に保存した。治療前のスクリーニングでは予想外に陽性率が低く、約3%であったため、上記の治療対象を探すのに各病院で千名以上の小児の検査を要した。そのため当初予定した対象者数の半分ほどにとどまったが、現在、治療効果とそれに伴うサイトカイン産生、さらに血中薬剤濃度などを測定中で、今年中に測定を完了する予定である。期待される結果:対象者約100名について、薬剤反応性の多様性、原虫血症の推移、薬剤代謝の影響、免疫応答性の特徴などが明らかになり、遺伝的な背景との関連も示唆することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由)当初の計画におけるボリビア保健省のシャガス病治療プログラム自体が副作用の問題などで著しく遅延し、初年度は対象地域と病院を上記のプログラムにできるだけ依存しない計画に変更することに時間を要した。さらにボリビア国内の政治的な混乱や治安の悪化により現地との連絡や研究準備が十分に行えない事態が平成23年から24年の初めに発生した。24年度から25年度にかけて3つの病院において約百名の小児患者の治療が開始され、当初の計画より遅れたが26年度にはすべての計画が終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画より一年ほど遅れているので、研究費の繰り越しを行い平成26年度に24年度に修正した計画のほぼすべてを完了する予定である。現地の共同研究者とも十分な協議を行っており、予定通り100名の慢性シャーガス病の小児(5歳から15才までの)の治療中および治療後の原虫血症および免疫応答性、薬物代謝の状況及び遺伝的な背景に関する情報を集め、解析を行い、多様な治療反応性を決定する免疫遺伝学的な特徴を明らかにする予定である。
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Research Products
(4 results)