2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越智 裕之 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40264957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 高史 京都大学, 情報学研究科, 教授 (20431992)
筒井 弘 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30402803)
中村 行宏 立命館大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60283628)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アドホックネットワーク / 非接触通信 / 非接触電源供給 / オンチップ太陽電池 / 長期信頼性 / マスクROM |
Research Abstract |
人類がこれまでアナログメディアで蓄積してきた書物、音楽、映像等の文化遺産のデジタル化や、増えつつあるオンラインコンテンツの散逸防止が急務であるが、既存の光ディスクや磁気ディスク等の寿命は数10年と言われている。そこで研究代表者らは、長寿命なデジタル記憶メディアとしてマスクROMに注目し、その長期信頼性を更に高めるべく、マスクROMの実装されたシリコンチップ全体を完全に絶縁層で封止し、エネルギー供給やデータの取り出しを全て非接触で行うことを考え、更に、各記憶メディアに相互通信する機構を持たせ、拡張性の高い大規模アーカイブシステムを実現することを考えた。この実現に向け、平成23年度は、(a)オンチップ非接触電源供給および(b)データ通信技術の予備評価、ならびに、(c)低電圧動作可能なマスクROMの方式検討と評価を行ったが、この中で特に興味深い結果が得られた(a)および(b)について、平成24年度は深耕した。 (a)オンチップ非接触電源供給技術に関しては、前年度に着想したオンチップ太陽電池の回路方式に改良を加え、0.18μm CMOSプロセスを用いた試作と評価を行った。CMOSプロセスで太陽電池を実装した場合、基板電位より高い電圧を効率よく取り出すことは困難であることが知られているが、我々が考案したのはそれを可能とする回路方式である。この技術はセンサネットワークや能動無線タグ等にも適用可能性があり、特許出願を行った。 (b)オンチップ非接触データ通信技術に関しては、電磁誘導方式の適用時の問題点を示唆する結果が前年度に得られたので、今年度は、オンチップダイポールアンテナを用いた電磁波による通信について、電磁界シミュレーションなどにより予備検討を行った。この結果、消費電力にやや課題を残しつつも、1mm以上の距離でチップ間通信が可能であることを示唆するデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非接触電源供給技術に関しては、上述の通り当初の計画に無かった新たな着想を得て実験を実施し、結果として特許出願など、当初の計画以上の成果を得ている。非接触通信技術に関しても、シミュレーション等で着実に検討を進めている。他方、マスクROMその他の事項の研究についてはその分、十分な工数を割くことができず、やや遅れていることも否めないが、これは最終年度に推進する予定である。これら全体を総括し、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画に沿って研究を推進するが、平成23~24年度はオンチップ太陽電池の方式について重点をおいて研究してきたので、最終年度は、他の要素技術の検討に注力して進める。
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Research Products
(1 results)