Research Abstract |
空間の非線形計量に基づいて識別を行うために,拡張カーネル法を用いた,局所マルチカーネル学習と識別関数の学習を同時に行う手法を開発した。そのために,正則化重みを変える方法と,学習自体に交差検定を導入する方法を開発し,計算機実験によってその有効性を確認した。また,カーネル関数で表現したMahalanobis計量を求めるアルゴリズムを開発し,計算機実験を行った。その結果,境界条件の与え方に工夫が必要であることが判明した。確率理論に基づいて分類を行う手法である最小二乗確率的分類器は,推定の信頼度を直接的に求めることが可能で,非常に高速に学習を行うことができるという特徴を持っている。リスクを考慮した機械学習手法の理論的基盤を整備するために,いくつかの種類の確率的最小二乗識別器を統一的な形で再定式化した。また,リー群上における平均演算をStiefel多様体上に拡張する研究を行った。具体的には,Stiefel多様体とそのLie環の間の一対一写像,およびそのLie環上の不動点アルゴリズムを導き,計算機実験によりその有効性を確認した。一方,部分カーネル主成分追跡と呼ぶ,カーネル主成分分析において固有ベクトルを適応的に追跡できるアルゴリズムを構築した。具体的にはまず,部分空間上で基底関数を固定することによって,Hilbert空間上の問題を,Euclid空間上の問題として簡潔に記述した。そして,そのEuclid空間上の評価関数を最小化するための,再帰最小二乗アルゴリズム導出した。提案したアルゴリズムによって,従来手法では扱うことができなかった変化を伴う時系列パターンから非線形相関を含む高精度な特徴抽出が可能となった。この成果は変化を含む時系列パターン処理,特にコンピュータビジョンや生体信号処理への応用が期待できる。また,Grassmann多様体上での確率的距離を測る手法について検討・提案を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に基づき理論を整備し,計算機実験を行っている。実験結果に関しては,想定していたよりも良い場合,悪い場合の両方が存在するが,計画の範囲内であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に,研究計画に大きな変更はない。拡張カーネル関数によって表現したMahalanobis計量を求める研究に関しては,境界条件の導入法に対して注力して研究を行う。時空間計量を求めるための幾何学的局所等方独立方程式の拡張に関しては,複素数を使い,状態とその変化を同時に表す関数に対する方程式を開発する。
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