2013 Fiscal Year Annual Research Report
言語の起源と進化を探求するための超越性に対する複合的アプローチ
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23300085
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
橋本 敬 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (90313709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 耕司 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (00173427)
岡ノ谷 一夫 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30211121)
金野 武司 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 特任助教 (50537058)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超越性 / コミュニケーション / 言語の起源と進化 / 実験記号論 / 描画実験 / オノマトペ / 創造タスク / 比喩的記号システム |
Outline of Annual Research Achievements |
コミュニケーションにおける超越性(「いま,ここ」を離れた事象に言及できる性質)の意義として,相手が知らない知識を伝えられるという点に着目し,超越的コミュニケーションの成立メカニズムを描画実験により検討した.結果として,送り手の描画にはメタファー表現とメトニミー表現があり,相手が知らない対象を伝える課題では,両表現を同時に使った描画の頻度が課題の成功と強く相関することが明らかになった.そして,受け手が,伝えられる対象を描画と似たものと解釈する類像的記号システムから,ある性質を共有するが描画と似ているわけではない対象と解釈する比喩的記号システムへと質的に変化することが,超越的コミュニケーションの鍵であることが分かった. 超越性の実現には,記号が類像的に接地される状態から,比喩的に表わされる別の事物と結びつけるために,一旦記号関係を脱接地する必要があることが示唆される.この接地・脱接地をオノマトペの学習の研究を通じて検討した. オノマトペは,擬音語・擬態語のように音の模倣で物事や動作を表わす言葉である.このように音が対象を類像的に表わす音象徴的な語彙は,特定の音が「記号」であることを知る言語の入り口と考えられている.実際,日本語母語話者にとってオノマトペは物事の状態や動きを感覚的に言い表せる言葉である.だが,日本語学習者にとっては必ずしも類像的に理解できず,最も習得しにくい言葉の一種とされる.すなわち,日本語オノマトペには,単純に類像的なものだけではなく比喩的なものが含まれ,習得には接地・脱接地の両方が必要とされる可能性がある.本研究では,日本語学習者によるオノマトペのニュアンス習得を改善する方法を検討し,自らオノマトペを創作するプロセスが効果的であることが分かった.語と対象の関係をすでにあるものとして記憶するだけではなく,能動的に作ることが単純な接地に留まらない可能性が示唆される.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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