2012 Fiscal Year Annual Research Report
光操作法と神経路特異的破壊法を活用した新しい行動薬理学による負情動生成機構の解明
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23300130
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南 雅文 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20243040)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 情動 / 疼痛 / 抑うつ / 不安 / 行動薬理 / 神経路特異的 / オプトジェネティクス |
Research Abstract |
本研究では、1)痛覚受容からextended amygdalaに至る神経回路・神経情報伝達機構の解明、2)痛みによる不快情動生成に関わるextended amygdala内およびextended amygdalaと他脳領域間の神経回路・神経情報伝達機構の解明、3)Extended amygdalaからモノアミン神経核への神経投射の抑うつ・不安情動生成における役割の解明に関する研究を行う計画である。研究計画調書では3つの研究の遂行を便宜的に年度ごとに振り分けたが、研究の効率性を考慮し、3つの研究を並行して行い、一定の研究成果が得られたテーマを優先的に推進していくこととした。平成23年度の研究成果より、分界条床核において痛みにより遊離亢進したCRFは、分界条床核内2型神経細胞(GABA含有介在神経)を活性化し、分界条床核から腹側被蓋野に投射するGABA神経を抑制することで、腹側被蓋野内GABA介在神経を活性化し、最終的には腹側被蓋野内ドパミン神経を抑制して嫌悪情動あるいは抑うつ情動を生成させる可能性が示された。今年度の研究では、ニューロペプチドY(NPY)の分界条床核内投与により痛みによる不快情動が抑制されること、NPY同時適用によりCRFの分界条床核2型神経細胞の活性化が抑制されることを明らかにした。これらの結果は、分界条床核内でCRFとNPYが相反的に働き、痛みによる不快情動を制御していることを示している。さらに、今年度は、光操作法を用いた解析のため、ウイルスベクターによるチャネルロドプシン遺伝子導入を行い、電気生理学的手法によりその機能的発現を検討した。ウイルス投与部位の神経細胞体では、十分量の発現を確認できたが、神経路特異的解析に必須である神経終末部での発現が微弱であった。今後、神経終末部での十分な発現を得るために、ウイルスタイター向上などの改善策を講じる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までの研究で、分界条床核内でCRFとNPYが相反的に働き、痛みによる不快情動を制御していることを明らかにした。これらの研究成果を報告した学術論文は「今週の注目論文」として当該学術雑誌で紹介されるなど国際的にも高い評価を得るとともに、毎日新聞や産経新聞での報道のほか、中日新聞や京都新聞など多数の新聞のWEB版にも掲載されるなど、国内でも注目された。一方、神経活動光操作法についは、神経細胞体部では光感受性チャネルの十分な発現を得ているが、神経路特異的解析に必須である神経終末部での発現が微弱であるため、平成25年度は光操作法の研究手法の確立に注力する。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように行動薬理学的解析および電気生理学的解析においては新しい知見を得ることができたが、神経路特異的解析に必須である神経終末部での光感受性チャネル発現については研究計画より遅れているため、平成25年度は光操作法の研究手法の確立に注力するとともに、本研究手法を行動薬理学的手法や電気生理学的手法と組み合わせることで、研究をより強力に推進する。
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Research Products
(14 results)