2012 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性および抑制性アストロサイトの局在と産生機序解明
Project/Area Number |
23300136
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
池中 一裕 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授 (00144527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 喜四夫 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (40132740)
並木 繁行 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90452193)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ATP / グルタミン酸 / イメージング / アストロサイト |
Research Abstract |
1)ATPとグルタミン酸同時イメージング装置の開発 生理学研究所においてATPイメージング装置を構築し、東京大学の並木らのグルタミン酸イメージング装置を付加して実験を行った。これまでに大脳皮質の培養アストロサイトでATPとグルタミン酸それぞれのイメージングを確立した。同時イメージングに向けて、様々な刺激を行いATPとグルタミン酸を放出するアストロサイトの分布を調べたが、ATP、グルタミン酸ともに放出するアストロサイトの数が少なかった。 2)グリオトランスミッター(ATP、グルタミン酸)の放出機構の解明 これまでに培養アストロサイトにグルタミン酸を添加することにより、ATP放出の強度や持続時間に多様性があること、またチャンネルや開口放出の阻害剤を用いた薬理学実験の結果、どの薬剤を用いても放出の持続時間は減少するが放出イベントの数は減少しないことを明らかにした。そこでさらに実験を進め複数の阻害剤を混合して添加したときのATP放出の変化を調べた。その結果チャンネルや開口放出のすべての阻害剤を混合すると、放出の数は顕著に減少した。またチャンネルの阻害剤のみを混合しても放出の数は顕著に減少した。このことはグルタミン酸添加によるアストロサイトからのATP放出は、開口放出でなくチャンネルからの放出が主要な放出機構であることを示唆しており、今後さらに詳しく調べる予定である。また神経回路でのアストロサイトからのATP放出の役割について調べるために、海馬スライスにグルタミン酸を添加したときのATP放出を調べた。その結果海馬スライスで神経細胞が分布する細胞層から離れたところで同様の放出が見られた。またこの放出は領域特異的で、薬理学実験によりその放出する領域が変化することがわかった。このことはアストロサイトがATPを放出し神経回路を制御していることを示唆しており、今後さらに詳しく調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同時イメージングに向けて、ATPとアストロサイトを放出するアストロサイトの分布を調べたが、ATP、グルタミン酸ともに放出するアストロサイトの数が少なく、ATPとアストロサイトを同時に放出するアストロサイトの解析が困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同時イメージングの開発をさらに進める予定である。またグルタミン酸放出についても放出機構を解明する予定である。
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