2013 Fiscal Year Annual Research Report
脱細胞化生体組織を基盤とする組織完全復元化技術の開発
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23300177
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岸田 晶夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60224929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 剛 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (10393216)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医療 / 脱細胞化組織 / 骨 / 血管 / 角膜 |
Research Abstract |
種々の生体組織を脱細胞化し、これらを組み合わせることによって、生体組織の完全復元化技術の開発を試みる。この研究の過程において、脱細胞化技術、再細胞化技術および組織複合化技術の開発を検討し、生体組織の再生を制御している必要な要素を探索する。本 年度の成果については下記の通りであった。 ① 骨・皮膚組織・小口径血管の脱細胞化の検討:昨年度に引き続きそれぞれの組織について適切と考えられる脱細胞化条件を設定し、安定に調製できるプロセスを改良した。 ② 骨・小口径血管の生体内における再構築:骨組織を生体内に移植し、骨髄組織構造の再生について検討した。脱細胞化ブタ骨髄を皮下埋植して形成された骨髄様組織内に造血幹細胞が存在することを確認した。また皮質骨を組み合わせて皮下に移植して形成した新生骨様組織についてX線マイクロCTによって、骨形成を確認できた。小口径血管については、内膜組織の機能について検討し、精緻な脱細胞化によって構造維持された内膜が抗血栓性機能を有するのではないかとの新しい知見を得た。 ③ 角膜組織の再構築:ヒト角膜細胞の培養については引き続き検討中である。またウサギ角膜への移植実験についてはより臨床に近い深部欠損実験を行い、良好な結果が得られた。 ④ 小口径血管の成形法の検討:移植部位の形状・サイズと採取した生体組織をマッチングさせるために、骨・小口径血管の成形法の検討を行った。大血管から内皮部分を薄切する技術を開発し、それを筒状に成型して小口径血管とした。筒状に成型する際の組織の接合技術を開発した。動物移植実験を行い、小動物については良好な結果が得られたが大動物を用いた長期実験では開存性について一定した成果が得られなかった。成型した血管の物性に原因があると考えて透過性・強度等を測定する実験系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の組織について検討を行い、それぞれ課題が生じるがおおむね対応ができている。昨年度から骨髄の再生について幹細胞生物学の専門家からいくつか意見をいただき、知見を集積して現在、学術論文作成中である。また小口径血管については動物実験の成果が得られており、臨床応用上の問題点がいくつか明確になったため、現在対応中である。角膜については、組織移植の前臨床試験に臨めるだけの成果が得られた。一方、細胞組み込みに関しては、ヒト角膜内皮細胞の供給が困難なため、大幅な進展は難しいかもしれない。動物実験による評価法を検討している。筋肉については、欧米での進展に合わせて、脱細胞化組織の粉体あるいはゲルによる再生について検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄については、生体内での実証を発展させるとともに、生体外での造血の可能性を検討する。小口径血管については作製法の改良によって長期動物実験における安定した開存性の実現を行う。皮膚組織については、細胞組み込みによる皮膚自体の再生とともに、医療応用を想定した加工法・特性評価法について検討を進める。角膜については、内膜の再生の実証に注力する一方で、臨床応用を想定した場合の脱細胞化法、形状加工法、保存法、輸送法などを検討する。筋肉については、3次元足場としての脱細胞化組織だけでなく、組織再生促進剤としての機能を粉体等を用いて検討する。
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