2012 Fiscal Year Annual Research Report
モルフォリノオリゴ搭載ナノバブルと超音波による筋ジストロフィーの革新的治療戦略
Project/Area Number |
23300193
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
根岸 洋一 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (50286978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
高木 教夫 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (50318193)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 超音波 / 筋ジストロフィー |
Research Abstract |
バブルリポソームと超音波照射併用による心筋への導入法の確立を目指し、治療用超音波照射後の体内分布について検討した。蛍光標識PMOを用いて調製したPMO搭載バブルリポソームをmdxマウスに尾静脈内投与し、体外から治療用超音波(1MHz)を照射後、照射部位の筋組織(心臓)への移行性について、組織切片作成後、蛍光顕微鏡を用いて組織学的に解析したところ、照射時間の延長(最大8分まで)に伴って、心筋組織でのPMO移行量の増大が確認された。また、ペプチド修飾PMOを用いた場合においても同様の結果を得ることができた。さらに、心筋へのPMO、化学修飾型PMO(Vivo-PMO)を尾静脈内投与し、経皮的に心臓部位へ治療用超音波を照射後、2週間後における心筋でのジストロフィン発現を免疫組織学的に解析した。その結果、未処理群に比べ、バブルリポソームと超音波を併用することによって、顕著なジストロフィン陽性筋線維の増加が観察された。このことから、新規に開発したアニオン性脂質含有バブルリポソームへのペプチド修飾PMOを搭載させ、体内挙動を一致させることで、さらなる導入効率の向上が期待できるものと考えられた。一方で、昨年度において、新規に開発したアニオン性脂質含有バブルリポソームへのペプチド修飾PMO(FITCラベル化)の搭載をフローサイトメトリーにて解析したところ、負電荷脂質の含有量が高くなるにつれて、PMOの搭載量が増加することが示された。さらに搭載後の粒子径を調べたところ、搭載前のバブルリポソームと比較して、変動は無く、粒子径が安定していることが判明した。また、in vitro遺伝子導入実験の結果から、従来型のバブルリポソームと同程度の効率的キャビテーション誘導と低レベルの細胞障害性が認められたことから、in vivoでの超音波応答性核酸デリバリーにおいて有用なツールとなるものと期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非常に安定かつカチオニックペプチドを結合させたPMOを搭載できる有用なアニオン性脂質を含有させたポリエチレングリコール修飾バブルリポソームの作製に成功した。さらに心筋へのPMO導入法の確立を目指し、導入条件(超音波照射条件、バブルの投与量など)の最適化を十分図ることができた。来年度に向けての新規バブルリポソームの核酸デリバリーツールとして有用となる可能性についても十分示すことができた。 以上のことから、本研究は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、バブルリポソームと超音波照射を利用した効率的なPMO導入とそれに伴う治療効果が得られるか否かについて検討を加える。さらに導入法の安全性を評価することで、本法の有用性の評価を行う。 1) PMO導入によるin vivoジストロフィン発現解析、 調製されたPMO搭載バブルリポソームをmdxマウスに尾静脈内投与する。体外から標的筋組織に治療的超音波照射を行うことで、PMOを細胞内導入する。導入組織におけるジストロフィンタンパク質発現を免疫組織学的解析、エクソンスキッピング効率をRT-PCR法にて調べる。これによりin vivo におけるPMO導入法の最適化を図る。 2) アニオン性バブルリポソームのin vivo安定性と導入PMOの体内分布解析、 超音波診断装置を用いて、アニオン性バブルリポソームの超音波イメージング画像を取得し、バブルのin vivoでの安定性を評価する。次に治療用超音波照射後の体内分布を調べるために、蛍光標識PMOを用いて調製したPMO搭載バブルリポソームをmdxマウスに尾静脈内投与し、体外から治療用超音波を照射後、照射部位の筋組織への移行性について、組織切片作成後、蛍光顕微鏡を用いて組織学的に解析する。 3) アニオン性バブルリポソームの赤血球溶血試験と赤血球凝集試験、 アニオン性バブルリポソームの静脈内投与後の安全性を調べるために、マウス赤血球と調製したバブルリポソームとを混合することで、赤血球溶血試験と赤血球凝集試験を行い、in vivoでの静脈内投与後の安全性評価を行う。 4) 心臓へのPMO導入法の確立と安全性評価、 調製されたバブルリポソームとPMOをmdxマウスに尾静脈内投与し、経皮的に体外からの心臓への治療用超音波を照射後、心機能に与える影響を超音波イメージング(心エコー)解析することによって、導入法の安全性評価を行う。
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Research Products
(4 results)