2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会脳に着目した認知症への脳活性化リハビリテーションの開発と医療への適応拡大
Project/Area Number |
23300197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山口 晴保 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (00158114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀ヶ谷 忠彦 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (90455949)
勝山 しおり 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (50334123)
山上 徹也 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 講師 (60505816)
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Keywords | 脳活性化リハビリテーション / ランダム化比較対照試験 / 認知症 / 認知機能 / 行動・心理症状 / 機能的近赤外分光装置 |
Research Abstract |
「認知症は治らない」「認知症はリハの適応にはならないという」という古い概念から、「認知症は適切な医療とリハで生活が回復する」という新しい概念への転換を目標にしている。脳には可塑性があり、残存機能を高めて廃用を減らせば、生活力が高まり、行動・心理症状(BPSD)が減り、進行を遅くすることができることを示すために、脳活性化リハビリテーションの原則をまとめ、英語のレビューとして提唱した。これを元に、老健施設で脳活性化リハによる介入の実践を行った。A施設では51名を対象に3か月間の介入を行い、認知機能、生活機能、QOL、やる気の全ての指標に有意な改善を示した(投稿準備中)。また、老健施設での別の研究では、認知症短期集中リハ実施加算の終了した対象者を2群分けして簡単な体操と脳活性化リハの介入を行い、脳活性化リハ群で有意な認知機能の向上を認めた(投稿準備中)。さらに、エビデンスを示すために、ランダム化比較対照試験(RCT)による研究を行った。山上は、2つのグループホームの利用者54名を対象として、長谷川式簡易知能スケールの得点による層別無作為抽出を用い、介入群と対照群に割り付け、介入群には脳活性化リハビリテーションの代表的メニューである作業回想法を週2回、1時間、12週間実施した。その結果、介入群ではClinical Dementia Rating値が4名で改善した。またMultidimensional Observation Scale for Elderly Subjectのでも有意に改善した。 さらに、リハビリテーションで多く用いられる音楽について、機能的近赤外分光装置を用いた実験を行った。ヒーリング音楽聴取により前頭葉の脳血流量の低下を認め、リラックス効果をもたらしたことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度であるにもかかわらず、老健施設で2つの介入研究を実施でき、しかも、脳活性化リハビリテーションの有効性を示すことができた。グループホームでのランダム化比較対照試験でも成果を示し、論文の投稿を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、評価指標を確立し、医療機関や介護保険施設で、できるだけランダム化比較対照試験の形で、脳活性化リハの効果を示す研究や脳活性化リハの実施方法に関するする研究を実施していく。
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Research Products
(4 results)