2012 Fiscal Year Annual Research Report
医療リスク管理政策の国際比較制度分析:アクター理論によるアプローチ
Project/Area Number |
23300315
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣野 喜幸 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90302819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 則久 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター, センター長 (50159670)
市野川 容孝 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30277727)
金森 修 東京大学, 教育学研究科, 教授 (90192541)
森 修一 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター感染制御部第7室, 室長 (40559522)
山邉 昭則 東京大学, 教養学部, 特任講師 (70533933)
渡邊 日日 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (60345064)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 科学技術社会論 / 医療政策 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトはサリドマイド、ワクチンをはじめ裁判紛争等の深刻な社会問題となり、現在も原因究明や被害救済が重要課題となっている「医療リスク管理政策」を対象とし、国際比較の手法に基づいて、その成功と失敗のメカニズムの解明を目指すものである。第二年度にあたる2012年度は研究プロジェクトを本格的に展開するため、国内の関係者のオーラルヒストリー調査、国外の医療政策の一次文献調査を軸に作業を進め、成果の一部を論文ならびに学会発表の形で発表した。 オーラルヒストリー調査に関してはまず2012年7月15日に岡部信彦氏(川崎市衛生研究所)に調査を依頼し、日本のワクチン政策の特徴・問題点についてお話をお伺いした。続いて10月28日には小児科医の木田盈四郎氏に調査を依頼し、ドイツをはじめとする他国の状況との比較や裁判の過程などを中心に、サリドマイド問題についてご教示いただいた。さらに12月16日には、北川定謙氏(日本公衆衛生協会)をお迎えし、医療政策の形成過程に焦点を当てつつ、日本の保健医療行政一般がもつ特徴を調査した。2013年2月9日には手塚洋輔氏(京都女子大学)にワクチン政策をテーマとしてお話をお伺いし、評価機関の在り方や危機管理組織の構築などが重要な論点となることが判明した。 国外の医療政策の一次文献収集についても、サリドマイド(花岡)、ハンセン病(石井・森・高野)、ワクチン(田中)と各担当者がWeb調査などを中心に積極的に作業を進めた。 また当研究プロジェクトのウェブサイトを昨年度から引き続き運営し、活動内容の公開等に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトの主要な研究方法の一つであるオーラルヒストリー調査につき、昨年度は国内の重要関係者四名を対象に実施することができた。また国外の医療政策の一次文献に関してはサリドマイド政策、ハンセン病政策などは順調に資料収集が進んでいる。ただし、国外研究者を通じた調査やインフルエンザなどの一部の政策の一次文献の収集が遅れており、こうした点を修正していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究成果を踏まえ、平成25年度は本研究プロジェクトを仕上げるため、国外での状況調査と国内でのオーラルヒストリー調査を中心に研究を推進していく。前者の国外調査については、10月にアメリカで行われる国際学会へ研究班の数名が参加することを予定しており、学会発表や研究交流を通して行う。またオーラルヒストリー調査は昨年度まで行なわれていなかったインフルエンザ政策を重点対象とし、候補者を速やかに選定して実施することとしたい。
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