2011 Fiscal Year Annual Research Report
磁性ナノ粒子+腫瘍浸透ペプチドによる難治固形癌の電磁誘導焼灼治療
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23300362
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小田 竜也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20282353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 英人 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50302386)
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Keywords | がん / 電磁誘導加熱 / ナノ粒子 / ペプチド / マクロファージ |
Research Abstract |
【本研究の目的】は磁性ナノ粒子をがん病巣にのみに集め、体外から交流磁場を印加して加熱、殺傷する電磁誘導加熱癌治療の臨床応用を目指す事である。すでに、独自に開発した板状かつ多孔性の高発熱ナノ粒子(DINP)の作成は安定しており、H23年度はその物質特性を詳細に検討した。磁気粒子の特性を示すヒステリス曲線の面積はDINPが圧倒的に広く、既存の高発熱コバルト含有球状粒子よりも、コバルトを含んでいないDINPの方がはるかに高い発熱効率を示した。(Kishimoto JMMM 2012)。さらに残された【解決すべき課題は2つ】であった。 【1-マクロファージを一時的に除去する技術開発】マクロファージを一時的に消失させる為に、今回、clodoronateリポソームを投与し、投与薬剤の血中濃度を5日間、約3倍に高める事が出来た。clodoronateは骨粗鬆症治療に使われる臨床薬剤であり、将来的には人体への応用も十分可能で、抗腫瘍薬剤の効果発現を底上げする新たなDrug delivery system(DDS)の形態として極め有望である(Ohara Int J Cancer 2012)。【2-DINPのPEGコーティング】強磁性粒子は相互に結合しやすく、すぐに沈殿し分散液になりにくいという大きな障害があった。今回、17個のリン酸基を付けた特殊な多点アンカリング機能を有するポリエチレングリコール(PEG)誘導体で磁性ナノ粒子表面を覆い分散液体とする事が出来た。その液状磁性粒子をマクロファージを消去したマウスに投与した所、肝臓への集積はほとんど無く、肺転移腫瘍に高率に集積させる事が出来た。現在、DINPのコーティングの効率化、腫瘍への集積増強を詰めており、目標値である1000W/g鉄粒子以上の発熱特性を持つ鉄粒子を1~2mg鉄粒子/g腫瘍の濃度で腫瘍に集積させる事が出来れば、腫瘍に対して1.7W/g腫瘍の熱量を加える事になり、腫瘍焼灼治療が完成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に開発した磁性ナノ粒子の作成が安定的に出来ている。既存の方法では強磁性粒子は分散安定性を確保出来ないという大きな壁があったが、リン酸基による多点アンカリングPEGを導入し、生理食塩水中での分散が出来つつある。また、肝臓のKupffer細胞を一時的に除去する方法により、より効率的にナノ粒子を腫瘍に送達する事が出来る様になった。さらに、iRGDペプチドの併用により、ドキシルなどのナノ粒子抗がん剤の腫瘍集積量を上げることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
総合的に見て、研究目的は概ね順調に進展していると考える。今後、予定通り、強磁性粒子の多点アンカリングPEGによる分散安定性の確保、動物モデルを使った腫瘍へのナノ粒子製剤の集積技術を高め、動物モデルにおける電磁誘導加熱癌治療の前臨床試験を行って行きたい。
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Research Products
(3 results)