2012 Fiscal Year Annual Research Report
ピコプランクトンの単離と培養による揮発性有機ヨウ素化合物の新規生成源の探索
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23310010
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
橋本 伸哉 日本大学, 文理学部, 教授 (10228413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 幸則 静岡県立大学, 付置研究所, 准教授 (10285190)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 海洋植物プランクトン / 揮発性有機ヨウ素化合物 |
Research Abstract |
ヨードメタンやジヨードメタンなどの揮発性有機ヨウ素化合物は、大気中ヨウ素の主な供給源であり、下部成層圏のオゾン分解や対流圏オゾンの濃度決定に関与し、さらに陸上に必須元素ヨウ素を運ぶ重要な化合物である。しかし、既知の生成起源では海洋から大気への揮発性有機ヨウ素化合物のフラックスのほとんどが説明できず、海洋での生成機構もよくわかっていない。本研究の目的は、植物プランクトンの単離および培養を通じて、外洋の大部分を占める温帯・亜熱帯域における揮発性有機ヨウ素化合物の新規の生成起源を明らかにすることである。 平成24年度に行った実験の結果、ジヨードメタンを含む揮発性有機ヨウ素化合物を生成する海洋植物プランクトン種を、新規に見いだすことに成功した。種々の海洋植物プランクトンを単離培養し、培養液を経時的に採取して、培養液中のハロカーボンの濃度、クロロフィルa濃度を測定した。その結果、ジヨードメタンを含む揮発性有機ヨウ素化合物を生成する海洋植物プランクトン種を複数見いだした。 これまでに、温帯域や亜熱帯域の外洋に生息する海洋微生物(プランクトンやバクテリア)による揮発性有機ヨウ素化合物の生成に関する報告はない。本年度の実験成果から、揮発性有機ヨウ素化合物を生成する温帯・亜熱帯域の海洋植物プランクトンが同定されたことは、世界に先駆けて大気中ヨウ素の主な供給源に関する新規な知見であると考える。平成25年度中に、さらに詳しい培養条件による揮発性有機ヨウ素化合物の生成への影響を調べた後、本成果を欧文国際誌に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、外洋の大部分を占める温帯・亜熱帯域の海洋におけるジヨードメタンを含む揮発性有機ヨウ素化合物の新規生成源を明らかにすることである。現時点で知る限り、ジヨードメタンを生成する植物プランクトンやバクテリアは、極域の生物以外、ほとんど報告されていない。平成24年度の実験結果から、温帯・亜熱帯域に生息する、海洋植物プランクトン種によりジヨードメタンが生成されることを見いだし、本研究の目的を達成しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に、温帯域から亜熱帯域の広範な外洋域に生息する複数の海洋植物プランクトンを培養した結果、ジヨードメタンを含む揮発性有機ヨウ素化合物の生成を確認した。平成25年度は、この海洋植物プランクトン種を、種々の条件で培養し、培養条件による揮発性有機ヨウ素化合物の生成への影響を調べ、今年度中に研究成果を国際誌に投稿する予定である。
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Research Products
(14 results)