2011 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴送電による無線電力供給から発生する電磁環境の安全性評価
Project/Area Number |
23310022
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮越 順二 京都大学, 生存圏研究所, 特定教授 (70121572)
|
Keywords | 電磁波影響評価 / エネルギー伝送 / 共鳴送電 |
Research Abstract |
平成23年度は共鳴送電装置の設計・製作に取り組んだ。先ず、共鳴送電装置を設計するにあたり、電磁界シミュレータHFSS Ver 13.0.2(Ansoft, USA)を用いて数値解析を行った。コイル形状には一般的な円形コイルであるヘリカルコイル、スパイラルコイルを選定し、各コイルの半径、各コイルの長さ、送受信コイルの間隔、各コイルの巻き数、各コイル線の直径、送受信コイルに接続するキャパシタなどをパラメータとして数値解析を行い、S11,S21パラメータおよび磁界分布により送受信コイルの特性を推定した。共鳴送電装置は、上記パラメータ、特に各コイルの巻き数や送受信コイルの間隔等に影響されることから、事前に数値解析により推定することは重要である。この数値解析において、送受信コイルの間隔が近い場合には、共鳴周波数は双峰性を示すこと、送受信コイル間中央等における磁界強度は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドライン値程度となる等の特性を確認することが推定することが出来た。 この数値解析を基に、次に共鳴送電装置の製作に取り組んだ。細胞培養環境のCO2インキュベータ内に送受信コイルを設置することとし、コイル形状は、数値解析の結果からヘリカルコイルを選定、コイル材料には冷却水の通水を考慮して銅パイプを選定した。また、送受信コイルを固定する架台にはアクリル材を活用した。この送受信コイルのS11,S21パラメータをネットワークアナライザにより測定した結果、数値解析により得られた結果とほぼ同等であり共鳴送電装置設計に関する数値解析の有用性を確認した。また、実際に高周波電力を送信コイルに印加して共鳴受電コイルへの伝送実験を行い、共鳴周波数においてのみ高周波電力が伝送されること等を確認した。 現在、CO2インキュベータ内温度の安定化に取り組んでおり、その後に細胞の基本導体等の基礎実験に取り組んでいく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共鳴送電の細胞ばく露用装置の設計と製作を行ったが、理論的ばく露環境のシミュレーションと製作した装置の実測値が優位にずれており、その原因について検証を重ねていたため、細胞の正常環境保持と基本動態試験に進むことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
電磁波の細胞ばく露環境がほぼ正常に働くことを確認できたので、24年度には、製作した装置における細胞の基本動態試験を実施し、当初の研究計画より遅れているが、共鳴送電により発生する電磁波の細胞遺伝毒性への影響評価を実施予定である。
|