2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310035
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
柴崎 茂光 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90345190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 嘉隆 国際教養大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00381335)
愛甲 哲也 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30261332)
才津 祐美子 長崎大学, その他の研究科, 准教授 (40412613)
西谷 大 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50218161)
青木 隆浩 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70353373)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 保護地域 / 国立公園 / ガバナンス / 近代化産業遺産 / 国有林 / 薪炭生産 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度からの現地調査を継続した。まず、利用者の需要特性については2012年5月および8月に宮之浦港・安房港・屋久島空港において対面式のアンケート調査および郵送方式の意向調査を併用する形でのアンケート調査を実施した。その結果、関東・近畿・中部地方の来訪者が占める、エコツアー利用率、パッケージツアー利用率がそれぞれ上昇していることがわかり、屋久島の大衆観光地化がより進んだことが判明した。このほかに、特定の観光地への集中が進み、繁忙期には混雑を実感している観光客が多いことも定量的に明らかになった。 歴史・民俗的資源に関する調査は、国有林内にかつて存在していた廃村調査を継続して実施した。その結果、新たに永田集落周辺、栗生集落上流部の軌道等の遺構を確認した。また宮之浦川にかつて存在していた森林軌道ならびに集落については、フィールド調査ならびに生活経験者に対する聞き取り調査を重点的に実施した。その結果、森林軌道の延伸と共に、集落の生産目的が薪炭材からヤクスギ材に移行してきたこと、労働者の流動性が極めて高いこと、島内への移住に際しては郷里の人的ネットワークが活用されていたこと、植民地時代に台湾の国有林で働いていた作業車が戦後の引き揚げに際して屋久島の国有林内の集落に移動してきたことなどが明らかになった。また、国有林内の炭焼き集落が昭和20年代後半から30年代前半に廃村になると、他の集落(小杉谷や石塚など)に、労働者が移動するなど、屋久島全体の林業システムとして集落を位置付ける必要性が明らかになった。 海外の事例として、アメリカのヨセミテ国立公園や、Golden Gate National Parksでの聞き取り調査を実施した。文化的資源を保護地域の中で残すことの難しさや、外郭支援団体であるGGNRA Conservancyと協働する形でのブランド戦略などが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
利用者のアンケート調査などは、2012年8月に襲来した台風の影響で補足調査が必要と考えられるものの、概ねのデータを得ることができた。また廃村調査についても、宮之浦川周辺については調査ができた。ただし、屋久島の廃村の分布が想像以上に広く、現地を歩く際に予想以上の時間がとられるため、まだ未解明な区間が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
廃村調査に関してはフィールド調査を地道に継続するだけでなく、生活経験者の情報と照合させて、より正確な把握に努める。
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Research Products
(5 results)