2011 Fiscal Year Annual Research Report
海洋漂流プラスチック中の化学物質の存在・分布と海洋生物への移行
Project/Area Number |
23310046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高田 秀重 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70187970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿貫 豊 北海道大学, 水産科学研究所, 准教授 (40192819)
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Keywords | 海洋漂着物 / プラスチック / PCBs / PBDEs / ノニルフェノール / レジンペレット / International Pellet Watch / 海鳥 |
Research Abstract |
都市水域(東京、神奈川、ロサンゼルス)、遠隔地の海岸(コスタリカ、トンキン湾等)、および外洋(太平洋Central Pacific Gyre、大西洋、カリブ海)で採取したプラスチックの破片中の化学物質の分析を行った。プラスチック片からは疎水性の汚染物質(PCBs,DDTs,PAHs)が検出された。これら疎水性の汚染物質濃度(中央値)は都市水域で高く、遠隔地の海岸および外洋では低かった。これら疎水性汚染物質は周辺海水中からプラスチックに吸着したものと考えられる。海岸で採取したプラスチック片中のPCBs濃度(中央値)と同じ海岸で採取したプラスチックレジンペレット中の汚染物質の濃度(中央値)には有意な相関が認められ、International Pellet Watchから、製品プラスチック破片に含まれる化学物質の濃度が推定できることが明らかになった。破片においてもペレットにおいても、破片間あるいは粒間で疎水性汚染物質濃度には1桁~2桁程度の大きな濃度変動があった。これは海洋プラスチックが吸着・輸送する化学物質による生態リスクを考える上で重要な発見である。海洋プラスチック破片中からは添加剤由来のノニルフェノール、ビスフェノールA、臭素化ジフェニルエーテルも検出された。添加剤由来の化学物質濃度も破片間あるいは粒間で大きな濃度変動を示した。これらの結果は2つの論文としてまとめ公表した。外洋に棲息し、プラスチックの摂食が報告されているハシボソミズナギドリの腹腔脂肪、中のPCBsの分析を行った。ハシボソミズナギドリは綿貫が北太平洋で混獲で死亡したものを採取し、解剖した。12個体を分析した結果、脂肪中のPCBs濃度(低塩素の同族異性体)は、消化管内のプラスチック重量と弱いながら正の相関が認められ、プラスチック由来のPCBsの生物組織への移行が示唆された。相関が弱い原因として、PCBsは食物連鎖経由でも海鳥に曝露されるためと考えられた。餌生物とプラスチック片中のPCBs濃度から計算したPCBs暴露量の推定結果はこの結果と整合性があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した今年度の計画は全て行い、成果を挙げ、3つの投稿論文として公表した。さらに2012年度に計画していた海鳥の腹腔脂肪中PCBsと胃内プラスチック含量の関連についても研究し、成果は投稿論文として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
PCBsだけでなく、添加剤としてもプラスチックに含まれるPBDE、ノニルフェノールについての研究を進めていく。対象生物はこれまで成果の上がっている海鳥を中心に海鳥の餌生物などにも対象を広げていく。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Measurement of persistent organic pollutants (POPs)in plastic resin pellets from remote islands : toward establishment of background concentrations for International Pellet Watch2011
Author(s)
Marvin Heskett, Hideshige Takada, Rei Yamashita, Masaki Yuyama, Maki Itoh, Yeo Bee Geok, Yuko Ogata, Charita Kwan, Angelika Heckhausen, Heidi Taylor, Taj Powell, Carey Morishige, Doug Young, Hugh Patterson, Bryson Robertson, Elizabeth Bailey, Jorge Mermoz
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Journal Title
Marine Pollution Bulletin
Volume: 64
Pages: 445-448
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Organic micropollutants in marine plastics debris from the open ocean and remote and urban beaches2011
Author(s)
Hisashi Hirai, Hideshige Takada, Yuko Ogata, Rei Yamashita, Kaoruko Mizukawa, Mahua Saha, Charita Kwan, Charles Moore, Holly Gray, Duane Laursen, Erik R. Zettler, John W.Farrington, Christopher M.Reddy, Emily E.Peacock, Marc W Ward
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Journal Title
Marine Pollution Bulletin
Volume: 62
Pages: 1683-1692
DOI
Peer Reviewed
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