2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス高度利用による乳酸ポリマー生産のための次世代微生物工場の創成
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23310059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 精一 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70216828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 謙一郎 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80360642)
佐藤 敏文 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80291235)
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Keywords | バイオポリマー / コリネ菌 / 酵素進化工学 / 代謝経路 / 共重合 |
Research Abstract |
(1)遺伝子導入による乳酸共重合体合成のための代謝経路の構築については、まずPHBの合成遺伝子群一セット(水素細菌由来)を遺伝子導入し、確かにポリマーの合成蓄積をガスクロマトグラフィーやHPLCにて確認でき、全ての遺伝子の機能的発現を実証した。ただし、その合成量は大腸菌を利用した同生合成遺伝子群によるポリマー合成量に比べて少ないことから、プロモーターの強化やコード遺伝子のコドン最適化などの工夫をしてさらにポリマー合成量を向上させるという課題があった。次いで、コリネ菌にD型乳酸脱水素酵素(解糖系によって生成するピルビン酸から乳酸への変換酵素)をエレクトロポレーション法により遺伝子導入した。得られた形質転換株の培養液の成分分析をしたところ、野生株と比較して著量のD型乳酸が菌体外へ生産されていることがわかり、乳酸ポリマーの初発原料であるD型乳酸を本組換え株にて十分に供給できる基盤が整った。なお、元々野生株がゲノム上に保有しているL型乳酸脱水素酵素によるL型乳酸の菌体外生産量は、組換え株と比較して減少した事から、外来のD型乳酸脱水素酵素遺伝子の機能発現によるピルビン酸からの乳酸変換反応がL型からD型に大きく傾いたことが原因と考えられた。(2)乳酸重合酵素のさらなる進化については、すでに明らかにしている基質特性に関与した4つの部位における網羅的アミノ酸置換体の作製と他種ポリマー重合酵素にも拡張して、関連部位におけるアミノ酸置換効果を探索する、2つの戦略を立案した。前者に関しては、325と481の部位に集中して、天然アミノ酸20種類を考慮した計400通りの可能性が創出できる変異体作製を遺伝子工学的に行い、乳酸重合活性に優位なアミノ酸置換の組み合わせの傾向を明らかとした。一方、他種重合酵素においてもこの知見に基づいて同系統のアミノ酸置換を導入することで、一部共通の傾向を見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳酸ポリマー合成に必要な初発原料であるD型乳酸の供給を可能にし、ポリマー自身も菌体内に合成蓄積できる実績を得られた。また、プロトタイプ乳酸重合酵素よりも乳酸重合活性が向上する変異体創出のアミノ酸置換パターンを把握できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
コリネ菌の細胞内に人工的に供給できるようになったD型乳酸から乳酸重合酵素の基質となるD乳酸のCoA(補酵素A)体に変換する酵素であるPropionyl-CoA転移酵素の遺伝子導入を計画している。また、乳酸重合活性の向上するアミノ酸置換パータンの探索をさらに続け、細胞内に導入することで、その効果を共重合体の中の乳酸分率を測定することで検証して行く。
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Research Products
(31 results)