2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス高度利用による乳酸ポリマー生産のための次世代微生物工場の創成
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23310059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 精一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70216828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敏文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80291235)
松本 謙一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80360642)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 乳酸ポリマー / 酵素進化工学 / モノマー組成 / コリネ菌 / 微生物工場 / モノマーフラックス |
Research Abstract |
(1)乳酸ベースコポリマーP(LA-co-3HB)の微生物合成系の構築・・・グルコースを炭素源とした大腸菌でのP(LA-co-3HB)コポリマー合成系の構築を大幅に進展させた。乳酸重合酵素は、Pseudomonas sp. 61由来のPHA重合酵素の改変体(STQK二重変異)を使用し、D体乳酸合成量の異なる数種の大腸菌株にモノマー供給系酵素と一緒に遺伝子導入した。特にギ酸合成経路遮断株(JW0885)では、好気的培養条件で良好にポリマー合成ができることがわかった。現在、その再現性を確認している。 (2)P(LA-co-3HB)合成大腸菌の培養工学的検討・・・上記項目の成果に基づき、JW0885株を用いて特にジャーファーメンターで通気度を精密制御することで、乳酸分率が数%から50%以上の幅で制御されたポリマーサンプルを安定的に回収できる技術基盤を確立しつつある。今後は、モノマーフラックスの解析をベースに培養液あたり5g/L以上のポリマー生産を目指す。 (3)各種P(LA-co-3HB)の基礎物性解析・・・乳酸分率29%からなる二元コポリマーの熱的性質として、ガラス転移温度がP(3HB)ホモポリマーとポリ乳酸との中間を示すことがわかった。また、機械的性質としてヤング率と破壊伸びが向上し、硬質の両ホモポリマーと比べて柔軟性が増大することが分かった。しかし、乳酸分率の向上とともに分子量が低下することがわかり、今後解決すべき課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳酸ベースコポリマーP(LA-co-3HB)の微生物合成系に関しては、当初のポリマー中の乳酸分率を6mol%から如何に向上させるかが今回の中心的課題であった。その解決戦略として、グルコースが解糖系を経て供給されるピルビン酸を起点に乳酸生成へフラックスをシフトさせることがキーであった。通常は、通気度を抑制して還元状態を生み出すことで乳酸生成を促進できるが、今回はさらにギ酸合成に関与する酵素遺伝子を破壊した代謝改変株の利用を試みた。野生株と代謝改変株を用いて、通気度を変動させることで、47mol%の乳酸分率まで向上制御できることがわかり、当初の目的を果たすことができた。また、29mol%の乳酸分率からなるポリマーを大量合成し、その熱的性質や機械的物性も調べることができ、P(3HB)やPLAなどのホモポリマーが示す硬質性に対して柔軟性を付与することに成功した。本成果も、実験着手以前に想定した設計どおりの物性発現であった。ただし、乳酸分率が向上するのにしたがい、ポリマー合成量と分子量の低下が観察され、新たなる課題が出現した。さらに乳酸分率を100mol%へ向上させたり、高分子量ポリマーを大量に合成するためにはどうしたらよいか?意欲的な課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度で述べたが、乳酸分率が向上するのにしたがい、ポリマー合成量と分子量の低下が観察され、新たなる課題が出現した。さらに乳酸分率を100mol%へ向上させたり、高分子量ポリマーを大量に合成するためにはどうしたらよいか?を考える必要がある。次の最終年度は、(1)ジャーファーメンターを使用した精密に通気度を制御できる条件で極力好気的培養条件にシフトした時の炭素フラックス解析を行う。(2)また、乳酸重合酵素自身のさらなる改変を通じて、乳酸重合能力を向上させることで乳酸分率がさらに向上しないかを調べる。(3)さらに、実バイオマスの有効利用という観点から、アミノ酸生産で実績のある産業食品微生物「コリネ菌」へ、ポリマー生合成遺伝子群を移植し、大腸菌でのポリマー合成との比較をする。投入する炭素源の消費に対してどのくらいの効率で目的ポリマー合成に変換できるかを定量的に追跡する。生産性という観点からは、単一細胞当たりのポリマー合成量の最適化と、培養条件の最適化により高密度培養を実現し、トータルの生産量を最大化する。以上、コリネ菌へのシフトを機に、モノマー供給条件、乳酸重合酵素の進化、高密度培養条件の探索、の3つの研究項目を設定し実行する。
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] New lactate-based and related biopolymers2012
Author(s)
S. Taguchi, K. Matsumoto, M. Yamada, Y. Song, J. M. Nduko
Organizer
International Conference on Bioinspired and Biobased Chemistry & Materials
Place of Presentation
Polytec University, Nice, France
Year and Date
20121003-20121005
Invited
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