2011 Fiscal Year Annual Research Report
サブナノメートルの分解能を実現する走査型熱顕微鏡の開発
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23310068
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
CUSTANCE Oscar 独立行政法人物質・材料研究機構, 極限計測ユニット, グループリーダー (00444555)
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Keywords | 走査型熱顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
走査型熱顕微鏡(SThM)は物質表面における熱特性をナノスケールで評価するために、熱感知型カンチレバーを利用した原子間力顕微鏡(AFM)の一種である。本研究では、これまで蓄積された原子分解能AFM法に関する高度な技術と経験を活かし、SThMの空間分解能をナノメートルスケールまで改善することを目的とする。研究の第一段階ではSThM装置を試作し、その性能改善を行った。SThM装置を設置するための小型UHVチャンバーを制作し、表面の清浄化に必要な設備を備えた既存のUHVシステムに接続した。試作するSThM装置は熱カンチレバーの性能が最大限に発揮されるように設計した。並行して、カンチレバーのたわみや変位が検出できるように高分解能光ファイバー干渉計の開発も行った。本装置は試料表面とカンチレバー間の位置合わせが正確に行える特別な位置決め機構を有する。顕微鏡部は原子分解能達成に必要な剛性と安定性を有し、試作表面の希望位置にプローブを自由に移動できるように光学アクセスを備える。サンプルホルダーは評価する電子デバイスの動作中に熱伝導特性が評価できるように複数の電極を有する設計とした。並行して、カンチレバーのたわみや変位が検出できるように高分解能光ファイバー干渉計の開発も行った。カンチレバーへの光ファイバーの位置決めは圧電モーターで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
顕微鏡の設計と組み立てに多少の遅れが生じている。今年度中に完成する予定。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度では、プロトタイプの設計を改良し、その組み立てを完了する。SThM装置は熱カンチレバーの性能が最大限に発揮されるように設計される。2012年度は高分解能SThMの試作を行い、KBr(100)表面およびGaAs/A1As接合界面の断面試料を用いて、トポ分解能と空間熱分解能の評価を行う。顕微鏡の試作が完成後、AFMモードとSThMモードの両方で空間分解能の評価を行う。AFMモードの分解能評価は、空気中で壁開したKBr(100)単結晶をUHV中で加熱することで表面水層を取り除いた試料を用いて行う。SThMモードの分解能評価はGaAs/A1As接合界面の断面を用いて行う。
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