2011 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピッククラスタービームによる有機電子材料のダメージフリー・ナノ加工
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23310080
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
豊田 紀章 兵庫県立大学, 准教授 (00382276)
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Keywords | クラスターイオン / ナノ加工 / 有機電子材料 / ダメージフリー |
Research Abstract |
本研究では、高エネルギー粒子の照射によって容易に損傷が生じる有機電子材料に対し、数万~数十万個の原子・分子が塊となったメゾスコピッククラスタービームを用いて、ダメージフリー・ナノ加工を行う。一原子あたりのエネルギーを1eV以下に低減するとともに、クラスターサイズや荷電状態・エネルギー・ガス混合比といった状態を制御し、有機電子材料のナノ加工における最適条件を見いだす。さらに、メゾスコピッククラスタービームと既存リソグラフィ技術を組み合わせ、有機電子材料に幅100nm以下のナノ構造を形成することにより、有機フォトニクス素子、有機半導体等や無機・有機融合デバイスの応用を検討する。マスクの改良が進めば、10nm程度のナノ構造形成を目指す。 平成23年度は、20V程度の低イオン化電子電圧でも大電流を得られるイオン源を開発し、低エネルギーイオン化電子による中性クラスタービームのイオン化を行うことにより、多価イオン形成に伴う有機材料の照射損傷を低減できることをin-situ XPS装置を用いて確認することができた。また、高周波偏向板を用いた速度選別器を用いることにより、クラスタービームの一原子あたりのエネルギーを制御することにより、有機材料の低損傷加工が可能であることを示した。さらに、液体材料と気体材料を混合したクラスタービームを形成するため、液体材料を気化しガスクラスタービームと結合させるピックアップセルを導入した。酢酸雰囲気中で酸素クラスターイオンが酢酸分子と衝突することにより、気液混合クラスタービームを形成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書で記載した平成23年の計画をほぼ達成できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はピックアップセルの改良を行い、液体・気体混合クラスタービームの大電流化を検討する。また、クラスタービームを照射された表面が非常に反応しやすくなるため、雰囲気ガスを導入することによりエッチングの増速を検討する。
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Research Products
(5 results)