2012 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピッククラスタービームによる有機電子材料のダメージフリー・ナノ加工
Project/Area Number |
23310080
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
豊田 紀章 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00382276)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | クラスターイオン / ナノ加工 / 有機電子材料 / ダメージフリー |
Research Abstract |
本研究では、高エネルギー粒子の照射によって容易に損傷が生じる有機電子材料に対し、数万~数十万個の原子・分子が塊となったメゾスコピッククラスタービームを用いて、ダメージフリー・ナノ加工を行う。一原子あたりのエネルギーを1eV以下に低減するとともに、クラスターサイズや荷電状態・エネルギー・ガス混合比といった状態を制御し、有機電子材料のナノ加工における最適条件を見いだす。さらに、メゾスコピッククラスタービームと既存リソグラフィ技術を組み合わせ、有機電子材料に幅100nm以下のナノ構造を形成することにより、有機フォトニクス素子、有機半導体等や無機・有機融合デバイスの応用を検討する。マスクの改良が進めば、10nm程度のナノ構造形成を目指す。 平成24年度は、ピックアップセル内に気相酢酸を1x10-3Pa程度導入し、セル内で酸素あるいはアルゴンクラスターイオンと衝突させることにより、酢酸混合クラスターイオンビームの形成を行った。飛行時間質量分析法で平均クラスターサイズを計測したところ、平均クラスターサイズ20000程度の酢酸・酸素混合クラスターイオンが形成していることを確認した。加速エネルギーが20keVの場合、一分子あたりのエネルギーが1eVという超低エネルギーイオンビームを実現できた。さらに、この有機酸混合ガスクラスターイオンビームは、有機材料の低損傷エッチングだけでなく、白金、磁性膜などの従来のエッチングでは困難な材料のエッチングにも応用できることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピックアップセルを用いて数万~数十万個の原子・分子が塊となったメゾスコピッククラスタービームを形成し、各種材料の低損傷エッチングを実現した。計画書で記載した平成24年度の計画をほぼ達成できていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
数万個~数十万個の原子・分子が結合したガスあるいは液体を混合したメゾスコピッククラスターイオンビームを用い、有機電子材料のダメージフリー・ナノ加工を検討する。メゾスコピッククラスターイオン照射後の表面は非常に活性となるため、イオン源とX線光電子分光測定(XPS)が真空一貫で接続された装置を用いる。また、反応性ガスをメゾスコピッククラスターイオンビーム照射中に導入し、エッチング速度の向上を検討する。さらに微細マスクを形成し、有機電子材料のダメージフリーパターニングを検討する。
|
Research Products
(6 results)