2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜タンパク質を用いたメカノセンサーアレイによる膜ストレス評価
Project/Area Number |
23310088
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
住友 弘二 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (30393747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥光 慶一 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, ナノバイオ研究統括, 主席研究員 (00393728)
樫村 吉晃 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 研究主任 (90393751)
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Keywords | 膜タンパク質 / 脂質二分子膜 / 巨大ベクシル / ナノホール / AFM |
Research Abstract |
今年度は,機械刺激応答性の膜タンパク質の機能を利用し,分子レベルで制御されたメカノセンサーアレイを構築するための最初のステップとして,以下のとおり研究を進めた. (1)膜タンパク質のデバイス構造への配置と機能化 今年度は,主にCaイオンポンプ(Ca-ATPase)をターゲットとして,膜タンパク質の抽出・精製を行った.人工脂質膜へ再構成し,その後の活性を確認した.巨大ベシクルへの融合も試み,イオンポンプ機能の計測及びデバイス上への配置へつなげていく.機械応答性タンパク質への応用にも準備が進んだ. (2)デバイス構造の最適化 Si 基板上のミクロンスケールの井戸をシールする脂質膜の安定化に対する検討を行った.液晶相と秩序液体相の2相に分離する人工脂質膜において,架橋部の表面応力により相分離が制御されることを見出した.架橋部における脂質膜(相分離構造)の安定配置や膜タンパク質の機能化に重要な知見といえる.また,基板上に形成する井戸構造のダウンサイジングや電極埋め込みに関しても検討を行い,作製準備を進めた. (3)AFMによる機械刺激と蛍光観察 AFMによる機械刺激および機械特性計測を実現するために,AFM用ピークフォース計測システムを導入し脂質膜の定量的な弾性計測およびそのマッピングを可能にした.同時に,蛍光顕微鏡に対してもマニピュレータ等を導入し,巨大脂質膜ベシクルのマニピュレーションおよび局所的な薬液投入を可能にした.これらの技術は,膜タンパク質を含む巨大ベシクルの作製,配置,展開等にも利用され,デバイス構造への膜タンパク質の配置にも欠かせない技術となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を実施するうえでキーとなる,膜タンパク質を利用したデバイスの構築に関して,概ね当初の予定通りの進展を見せている.定量計測に必要となる装置の導入および動作確認が達成された.デバイス構造への膜タンパク質の導入に関しても進展が見られ,機械応答性タンパク質への適用に準備が進んだ.膜タンパク質の機能と密接な関わりを持つ,脂質膜の相分離構造に関しても新たな知見が得られ,膜の応力の計測や制御に期待が持たれる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行に必要な設備の導入は完了した.今後,それらを利用して,デバイスの構築および計測へと研究を進めていく.デバイスに導入する膜タンパク質の機能計測に関しては,蛍光だけでなく電気的計測を並行して進めていく.デバイス構造の最適化に関しては検討を継続し,高精度・高感度な計測の実現を目指していく.
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Research Products
(2 results)