2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23310125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
釜井 俊孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (10277379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末峯 章 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00109092)
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助教 (50372553)
秦 吉弥 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80463561)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地すべり / 観測 / 東日本大震災 / 宅地造成地 / 都市 |
Research Abstract |
本年度は、東日本大震災に際し、仙台市緑が丘4丁目で発生した宅地盛り土地すべりにおいて一連の観測を継続するとともに、採取した土質試料の繰り返し3軸圧縮試験を実施した。その結果と平成23年度に作成した本震時の波形を入力として、斜面の動的変形解析を実施した。すべり層におけるせん断ひずみの発達過程と変位の時刻暦を検討した結果、約3分間継続した本震のどの時点で、地すべりが発生したかを推定することに成功した。すなわち、1回目の大きな揺れ(25-35秒)では、破壊領域は斜面中央部の一部に限定され、全体の崩壊(地すべり)は発生しなかった。しかし、2回目の大きな揺れ(73-83秒)では、破壊領域が盛土底部全体に拡大したと推定される。一方、最大水平地動速度(PGV)と過剰間隙水圧の関係を整理した結果、原点を通る直線を仮定し、過剰間隙水圧=0.824・PGV の回帰式が得られた。PGVと過剰間隙水圧の関係は、これまでも様々な地震において議論され、両者の間にほぼ比例関係が成り立つ事が、PGV=20cm/s程度までは知られている。そこで、今回得られた関係が地すべり全体で成り立つと仮定すると、深度6~7mのすべり層において過剰間隙水圧比が1.0に達するPGVは、76~86cm/sと推定される。余震観測の結果から合成した上記の本震波形によると、本震時のPGVは100cm/sを越えたと推定されている。すなわち、緑ヶ丘4丁目地すべりでは、本震時の大幅な過剰間隙水圧の上昇によって、頭部と末端部ですべり層の強度がほぼ失われると同時に、中央部(底部)ではせん断破壊が生じた。これらによって、すべり面が斜面全体に貫通し、地すべりの発生に至った事が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、「従来に比べて格段に精細な時間分解能で地すべりの動態観測を実施し、動的現象としての地すべり変動の実態を解明」について、偶然にも最適なフィールドを東日本大震災下の仙台市内に求めることができた。具体的な物性値の検討、動的解析についても順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、こうした成果をもとに、更に詳細なデータ分析と動的変形解析を進め、研究の取り纏めを行う。また、仙台市において使用していた観測機材を東京都南部の宅地造成斜面に移設し、首都直下地震、東海地震を想定した地すべり変動の動的観測態勢を構築する。
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Research Products
(9 results)