2011 Fiscal Year Annual Research Report
polymicrobial diseaseのメタゲノム解析とその臨床応用
Project/Area Number |
23310144
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
林 哲也 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (10173014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 尚明 宮崎大学, 農学部, 教授 (20229678)
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Keywords | ゲノム解析 / polymicrobial diseases / メタゲノム解析 / ウシ趾乳頭腫症 / 比較ゲノム / 難培養細菌 / 次世代代シーケンサー |
Research Abstract |
ウシ趾乳頭腫症Papillomatous Digital Dermatitis (PDD)は難培養性細菌を含む複数の細菌による感染症で、新たな疾患概念であるpolymicrobial diseaseの1つである。本研究では、メタゲノム解析を中心としたアプローチにより、本症原因菌群の同定とその生物学的性状を明らかにし、polymicrobial diseaseとしてのPDDの本質を解明し、得られたゲノム情報を基に、難培養菌の分離・培養法の確立や早期診断法やサーベイランス法などの開発を目指している。本年度はPDD新鮮検体を6検体収集し、一部から直接DNA(ウシDNAを含む)を回収して16S rRNA配列を利用したポピュレーション解析を行うとともに、病理組織標本の作成、病変の進展ステージおよびグラム陽性・陰性菌とトレポネーマの組織内分布を確認した。さらに、細菌DNAがエンリッチされたDNA標品調整法の改良を行った。改良法を用いて典型的なPDD標品からDNAを調整し、ポピュレーション解析を再度実施して問題のないことを確認した上で、メタゲノム解析を開始した。これまでに、Illumina MiSeq 5ラン分のショットガン配列とRoche 454 2ラン分のmate pair配列(約8kbサイズ)を取得した。また、Illumina MiSgq 1ラン分のデータを用いた予備的な検討により、ウシDNAのフィルタリング法およびアッセンブリ法をほぼ確立した。一方、分離法が確立できているT.phagedenisについては、完全配列を決定しているYG3903R株のゲノム配列の詳細な解析を行うとともに、分離地域・年の異なるPDD由来株(3株)とヒト口腔由来の標準株(1株)の概要配列を取得し、現在YG3903R株とのゲノム比較を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体収集、メタゲノム解析用検体の選定、細菌DNAがエンリッチされたDNA標品調整法の改良は予定通り実施でき、メタゲノム配列情報の取得も順調に進んでいる。ウシDNAのフィルタリング法およびアッセンブリ法もほぼ確立した。T.phagedenisについても、YG3903R株の詳細な配列解析および他菌株の概要配列取得とYG3903R株とのゲノム比較など、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な研究の推進方策は当初の計画に沿ったものである。ただし、メタゲノム配列データの取得には、454に加えてMiSeqを併用することにより、より厚みのある配列データを取得することとした。これによって、主要菌種のゲノム配列としては、より完全長に近い配列が得られるものと期待できる。また、宮崎県内の、口蹄疫の被害を受けてほぼ全てのウシを殺処分した地域において(北海道から仔ウシを移入)、PDDの集団発生が発生しており、これらのPDDサンプルを収集し、それを用いた比較メタゲノム解析を実施する事を新たに追加する予定である。
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Research Products
(9 results)