2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320039
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀田 真紀子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90261346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 龍一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (10241390)
宇佐見 森吉 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (20203507)
竹中 のぞみ 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (20227044)
石橋 道大 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30113517)
田邉 鉄 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (30301922)
原田 真見 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (40348298)
坂巻 正美 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60292067)
川嵜 義和 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (70214632)
常田 益代 北海道大学, 留学生センター, 名誉教授 (80291847)
玄 武岩 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (80376607)
浜井 祐三子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90313171)
富田 俊明 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (60584208)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 草の根社会運動 / 対話性 / レフレキシング・プロセス / 和解 / 公的領域 / コミュニティ・スペース / スクウォッティング / 自然との共生 |
Research Abstract |
春から夏にかけて、空知民衆史講座の調査をした。北海道でのダムや発電所、炭坑や道路建設などにおいて、第二次世界大戦下、強制連行労働された朝鮮人が、危険で過酷な労働条件の下多数命を落とした。空知民衆史講座は、ぞんざいに葬られた彼らの遺骨の消息をつきつめては、丁寧に、名前を持った人として葬り、本国の親族に返しに行くというアクションにより過去の私たちの祖先が犯した犯行をあがなうとともに、東アジアの信頼、和解構築へ貢献する活動を20年間続けている市民グループで、その活動は国際的な反響、議論を巻き起こし、毎年恒例の遺骨掘りや遺骨返しは、日本人のほか、韓国人、在日朝鮮人、世界中からの研究者や社会活動家たちがともに参加する大きな運動に発展している。私たちはまず、6月の総会に参加し参与観察を行ったほか、研究過程を双方向的なものにするために、その後、8月には、私たちの彼らについての調査、分析について、東アジアの平和のための共同ワークショップの中の彼ら主催のシンポジウムに今度は話者として参加。その研究交流は今後も続く予定である。秋から冬にかけては、堀田がアメリカで出会った、使われていない建物や土地を占拠してコミュニティのための場所にするスクウォッティングの実践者、エリック・ライルを紹介。北大のスクウォット研究会の学生や、北大のパブリックスペースでの行動規制に対する反対運動を組織している学生たちや、北海道で自給自足的な生活を試みる移住者たちとあわせて、対話的な研究交流を行った。2月には「初音ミクと宇宙開発の草の根な関係」というタイトルで、北海道大学国際広報メディア観光学院博士課程の渡辺謙仁を中心に研究会を行い、3月には、坂巻正美を中心に、網走のオホーツク文化交流センターで、「熊に生(な)る -“野生の思考”を現代社会で再生する方法[Art]を探る-」というタイトルのシンポジウムを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、3つの事例研究を、それぞれ当事者との双方向的かつ非常に活発な議論をともなわせ、進めてきた。つまり、単に調査に行きっぱなしにしないで、向こうから当事者を大学に招いて直接話をしてもらったり、逆に私たちの方がもう一度当地に、今度は調査者としてではなく、研究成果を報告する立場で出向く。そのようなレフレキシングな研究プロセスを踏むことで、私たちの研究を進めるだけでなく、当事者が、自分たちの活動の意義について、対象化し、自覚するのエンパワーメントにもなる。と同時に、同じことが私たち研究者の立場にも言え、私たち自身の研究の意義を、自覚し、それを最大化するためのさらなる理論構築への敷石にするという課題は着実に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
シンポジウムや研究会でせっかく興味深い議論が始まっても、時間制限などのせいで、それが途中で立ち消えになることがしばしばあった。そのせいで、草の根文化をめぐるさまざまな洞察やアイデアが、提示されただけで発展せずに眠っている。こうした潜在的な研究成果をすべて取り込むために、今年度は、これまで行った研究会やシンポジウムの話者のみならず、活発な発言者にも執筆協力を呼びかけた、研究成果を総合する冊子作りと、それを反映させたウェブサイトつくりに力を入れたいと思う。それによってこれまでの前半期で明らかになった草の根文化をめぐる調査結果を総合しまとめあげることもできるし、5年目のきたるべきシンポジウムの枠組みづくりをすることもできる。
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Research Products
(10 results)