2013 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルアーカイヴズと英国初期近代演劇研究―劇場、役者、印刷所を繋ぐネットワーク
Project/Area Number |
23320059
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 行夫 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30092927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一隆 弘前大学, 人文学部, 教授 (10227126)
松田 幸子 高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 講師 (10575103)
本山 哲人 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (20386527)
辻 照彦 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30197678)
勝山 貴之 同志社大学, 文学部, 教授 (30204449)
真部 多真記 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (30364483)
杉浦 裕子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50412846)
英 知明 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (60218518)
山下 孝子 鹿児島国際大学, 経済学部, 准教授 (70224623)
石橋 敬太郎 岩手県立大学盛岡短期大学部, 国際文化学科, 教授 (80212918)
佐野 隆弥 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90196296)
西原 幹子 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (80369199)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | デジタル・アーカイヴズ / 英国初期近代演劇 / 劇場 / 劇団 / 印刷所と大学 / 作者同定 / ロバート・ヤリントン / 観客 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、英国初期近代の演劇作品および当時の役者・劇団・劇場の総合研究を「歴史実証主義的立場」から新たに検証し直すことである。最大の特徴は、デジタル・アーカイヴズ (= digital archives: 電子データ資料 [database]を集積・保管する書庫)を多用し、定説と考えられてきた既存の概念・理論を、現存する公文書や有力な歴史的基礎資料を根幹とした「検証可能な方法」で再検討し直す点にある。それにより当時の劇作家、幹部俳優、劇場所有者、印刷出版業者等をはじめとした「演劇世界全般の相関的ネットワーク構築」の特徴的なありようを、エリザベス朝研究会の総力を結集して追究する。 平成25年度は、(1) シェイクスピアと同時代のマイナーな劇作家の一人ロバート・ヤリントンの作品『痛ましき二つの悲劇』について、古版本調査や作品成立の背景、不明な作者像の研究を行なった。(2)少年劇団の研究の一環として、ベン・ジョンソン『へぼ詩人』論を論文にまとめ、新たにジョン・リリーの劇作品と少年劇団の関わりについて宗教的観点から考察した。(3)ジョン・リリーのキャリア形成の観点から彼の処女戯曲を分析し、初演環境に作用した政治的磁場の存在と機序を明らかにした。(4)エリザベス朝に、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の学生によって執筆/上演された作品が出版された事情について、印刷所と大学関係者を取り巻く状況から探った。(5)英国初期近代演劇のプロット構造についておもに観客の視点から考察し、ロバート・グリーンの『ベイコンとバンゲイ』の複合的なプロット構造について、新しい見地から分析を行った。(6)研究実績の概要:イギリス初期近代劇作品の作者同定研究の歴史を概観し、その現在と今後の可能性について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英国初期近代演劇の劇場、役者、観客、上演の実態について、複数の新しい知見を得たことから、おおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度:「英国初期近代演劇のマイノリティ―無名な劇団と劇作家、観客たち―」。文学史に現れにくいマイナーな劇作家と作品、また無名の観客が残した観劇記録、地方巡業の記録などに依拠し、興隆する初期近代英国演劇の「底流」の考察を通し、「本流」の再考察を行う。
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Research Products
(18 results)