2011 Fiscal Year Annual Research Report
モダニズムの越境性/地域性--近代の時空間の再検討
Project/Area Number |
23320062
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中井 亜佐子 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (10246001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 徹 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 准教授 (60292489)
三浦 玲一 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (70262920)
越智 博美 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (90251727)
|
Keywords | 英米文学 / モダニズム / 批評理論 |
Research Abstract |
23年度は英語圏の地域横断的なモダニズム研究の基本的な概念の検討、研究資料の収集、国際的な研究ネットワーク形成の準備を目的として、討論会、英米での資料収集、国際シンポジウム、HP作成、学会発表および論文執筆等の研究活動を行った。 研究集会としては、6月に代表者、分担者、連携者が執筆した『言語社会』第5号特集「トランスアトランティック・モダニズム」の合評会を開催した。評者としては慶應義塾大学の武藤浩史氏、筑波大学の宮本陽一郎氏を招いた。両氏よりいただいたコメントにより、「トランスアトランティック」および「モダニズム」の概念そのものの再定義、政治的批評の現実世界に対する有効性の検討など、研究遂行に関する多くの課題があきらかになった。また、9月には代表者、分担者、連携者の間で討論会を行った。その際、1930年代から60年代の時期の英米文学、文化を論じるときに共有される問題として、ナショナリズムと社会主義(承認と再分配)というテーマが浮かび上がってきた。討論の成果は、研究プロジェクトHPで公開している。 国際シンポジウムとしてはまず、12月17日にウォリック大学から研究協力者Daniel Katz氏と東京大学の田尻芳樹氏を招き、中山(分担者)司会の下でシンポジウム"Remaking Modernism"を開催した。ゲストは両氏ともベケット研究者であるが、Katz氏は20年代のコスモポリタンなハイ・モダニズムの影響を受けた40年代の地域主義的な前衛詩人Jack Spicerを取り上げて論じ、ここでも「モダニズム」の時空間の最定義の必要性が議論になった。3月15日には、科研費プロジェクト「冷戦期リベラリズムの再検討」(三浦玲一代表)との共催で、ミネソタ大学よりPaula Rabinowitzを招いたシンポジウム"Culture of New Deal Liberalism"を開催し、三浦が司会をし、越智が発表している。Rabinowitz氏によるハイ・モダニズムとパルプ・フィクションの関係をめぐる論考は、モダニズムの社会的位置の再考につながる刺激的なのものだった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英国図書館等での資料収集、調査は順調に進んでいる。6月の『言語社会』第5号特集「トランスアトランティック・モダニズム」合評会、9月の座談会、および12月のDaniel Katz氏招聘シンポジウムは計画通り開催された。また、平成22年度中に研究成果を発表するHPを立ち上げ、合評会、座談会の内容を公開中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降は1930年代から60年代初頭の英米における「社会主義とナショナリズム」というテーマを軸に研究をまとめていきたい。引き続き英米の図書館等での資料調査を行い、年2,3回程度の勉強会を開催するほか、海外の研究者を積極的に招聘していく。平成24年度は7月、1月にBen Grant氏,Nicholas Royle氏の招聘を企画している。平成25年度には海外研究者1名の招聘、平成26年度には大型の国際シンポジウム開催を予定しており、またプロジェクト全体の成果発表として、英語による論集の刊行を計画している。
|
Research Products
(9 results)