2011 Fiscal Year Annual Research Report
漂泊する叙事 1940年代中華圏における文化接触史
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23320073
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱田 麻矢 神戸大学, 大学院・人文学研究科, 准教授 (90293951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 恒雄 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (20173792)
絹川 浩敏 立命館大学, 経営学部, 教授 (20288616)
星名 宏修 一橋大学, 言語社会研究科, 准教授 (00284943)
藤野 真子 関西学院大学, 商学部, 准教授 (20332653)
三須 祐介 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (60339653)
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Keywords | 一九四〇年代 / 漂泊 / 多言語 / 台湾 / 上海 / 張愛玲 / 沈従文 |
Research Abstract |
中華圏の1940年代における叙事の多様性を中心に研究を進め、その成果を学会において発表したり論文として公刊したりした。今年度の補助金は、主に研究を遂行するための文献の購入費にあてられた。 1文学テクスト班では、濱田が一九四〇年代の女学生を扱ったテクスト二つについての研究発表を行い、それぞれについて論文を執筆中である。激動の時代の中で引き裂かれる存在であった女学生について、テクスト外部の社会状況を絡め、多角的に論じることができた。また星名は植民地時期の台湾について、流行歌曲を取り上げたドキュメンタリー「跳舞時代」の背景を掘り下げて植民地時期の台北を論じるとともに、日本人による海南島表象を種々比較することによって植民地支配の複雑さを浮き彫りにした。 2メディア分析班では、松浦が民国期中国を代表する京劇の女形と特刊との関係について論文を執筆、特刊という一次的なメディアから演劇世界を再照射する試みを行った。また、藤野は上海独自の演劇文化について、周信芳という俳優を通じて劇種横断的な論文を執筆した。西村は新居格と台湾、中国について研究発表を行った。また三須は戦後台湾を扱ったテクストについてクィアリーディングを実践新しい読みを提示した。さらに研究協力者の田村は、抗戦期の文学テクストが現在においてどのように舞台化されているか詳細に比較検討した論文を発表している。 3体制分析班では、今泉が抗戦期の沈従文について会議報告を行い、四〇年代の持つ光と影の一端を明らかにした。また絹川は、日本の文人と縁の深い顧鳳城についての論考を発表した。 また、ワークショップとしてラテンアメリカ文学研究者の松本健二氏、フィリピン華僑研究者の宮原曉氏を講師に招いて他言語文化と文学との関係について討論を行った。さらに張愛玲と沈従文の翻訳検討会を行い精読を通じて四〇年代テクストについての理解を深めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題の採択が十一月になったため、予定していた調査旅行は実行できなかったが、別に予定していた翻訳検討会、多文化言語ワークショップなどは順調に遂行することができた。また次年度、次々年度に予定している研究交流のための打ち合わせも予定通り行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度も翻訳検討会を継続して行い、四〇年代テクストに対する認識の共有につとめる。また、11月に神戸において台湾と米国の研究者を中心に招聘し、戦争と性別、消費をキーワードにし、斉邦媛『巨流河』をコアテクストとして四〇年代の中華圏文化についてのシンポジウムを行う予定。シンポジウム終了後には正式な論文集としての出版を目指す予定である。
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Research Products
(13 results)