2011 Fiscal Year Annual Research Report
中世を終わらせた「生産革命」―量産化技術の広がりと影響―
Project/Area Number |
23320143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 圭一 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50251476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 正敏 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, なし, 理事 (00185646)
佐伯 弘次 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (70167419)
住吉 朋彦 慶應義塾大学, 附属研究所斯道文庫, 教授 (80327668)
高木 徳郎 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (00318734)
高橋 一樹 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80300680)
藤原 重雄 東京大学, 史料編さん所, 助教 (40313192)
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Keywords | 日本史 / 中世史 / 生産技術 / 量産化 |
Research Abstract |
全体調査として、平泉の生産遺跡と出土遺物の調査(岩手県)、越後の生産遺跡と出土遺物の調査(新潟県)、珠洲焼と能登漆器の製造技術の調査(石川県)を実施したほか、小豆島の石丁場の調査(香川県)、魚住の港湾施設の調査(兵庫県)、多賀城ならびに瑞巌寺の遺跡調査(宮城県)、「八十一難経」版木ならびに版本の調査(福井県・滋賀県)、与那国島ならびに石垣島の集落遺跡の調査(沖縄県)、薩摩の中世貿易関連遺跡の調査(鹿児島県)などの個別調査を行った。なお、調査先の都合で、当初予定していた川西遺跡・勝瑞城跡とその出土品の調査(徳島県)は平成24年8月に実施することとなった。 これらの調査によって中世の生産技術に関する知見を深めたが、中でも特筆しておきたいのは越後の調査で、陶器窯と製鉄炉・木炭窯が同じエリアに設けられて職人間の交流をうかがい知ることができる北沢遺跡や、米の品種を記した木簡や萱刈りの割り当てを記した札が中世の農業技術の一端を物語る馬場屋敷遺跡など、中世における技術革新の実相を探る上で重要な手がかりに接することができた。 如上の現地調査や個別の史料調査を通じて、15世紀を中心とする生産技術の変革に関わる事例を蓄積するとともに、平成25年に予定している国立歴史民俗博物館ならびに広島県立歴史博物館の企画展「時代を作った技―中世の生産革命―」の展示資料候補をピックアップし、展示ストーリーの検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
例えば越後の木材加工技術や製鉄技術を他地域と比較したり、現代の鍛冶や漆工芸の技術から中世を考える上で有効な手がかりを得るなど、中世の技術革新にアプローチするための新たな方法や視角を見出すことができた。一般に向けての重要な発信手段と位置付けている企画展に向けた展示資料の洗い出しも着々と進み、展示の構成やストーリーを練り上げる作業も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
開幕が25年7月に迫った企画展示の準備を当面は優先する。その後は、博物館展示が難しいことから後回しにしてきた農業技術などのテーマに重点を置きつつ、さらに技術革新の事例収集と技術的系譜の検証を進める。なお、当初計画では中国・韓国の海外調査を25・26年度に予定していたが、中国国内ならびに朝鮮半島情勢を勘案しながら、場合によっては中世日本にとっての外国であった沖縄ならびに北海道の調査をもってこれに代える。
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Research Products
(9 results)