2013 Fiscal Year Annual Research Report
律令国家の北限支配からみた、津軽海峡を挟む古代北方世界の実態的研究
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23320145
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小口 雅史 法政大学, 文学部, 教授 (00177198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 公男 東北学院大学, 文学部, 教授 (70153343)
天野 哲也 北海道大学, 学内共同利用施設等, 資料部研究員 (90125279)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 北方交易・交流 / 津軽海峡世界 / 続縄文土器の交流 / 擦文土器の交流 / 外来系土器 / 鉄器の流通経路 / 渡嶋世界 / 北海道出土須恵器 |
Research Abstract |
1. 秋田城関係史料集成…『青森県史』古代資料編以後の集成作業のうち、出土文字資料について、前年度以後の増加分の追加と過年度分の脱漏の確認を終えた。 2. 秋田城周辺土器調査…大館・比内地域の土器様相との比較、あるいは青森方面の土器との比較について、7月に大館開催の研究集会で、実際に大館付近の土器現物と、周辺各地から持参した土器現物とを照合させながら、検討作業を実施した。検討会終了後、あらためて周辺遺跡の現地を踏査し、立地などについても確認作業を終えた。この研究集会では、最終目的である秋田城の北方支配の実態解明のための、各分担者それぞれの立場からの研究報告も披露していただいた。秋田城の性格について、各分担者間の意見の相違は認められるものの、次年度の最終報告会に向けて議論の大筋は定まった。 3. 北日本産須恵器の調査研究…今年度はあらためて北海道出土の須恵器について、秋田県産の須恵器との集中比較を実施した。これまで五所川原産以外についてはほとんど解明されていなかった北海道出土の須恵器の原産地について、秋田産の可能性が極めて高いことが明らかになった。過般型の分析装置の現地持ち込みによる分析は、次年度に延期となったが、基礎的な作業は終えた。また口頭報告のみからの情報ではあるが、根室での須恵器出土の報をうけ、実際に現地で現物を確認した。詳細は報告書の刊行をまたなければならないが、原産地についてかなり確度の高い推定を得ることができた。 4.続縄文・擦文土器の分布と相互連関調査…東北地方の北海道系土器についての史料集成を進めた。最終的統合は最終年度に行うこととした。 5. 鉄器の流通経路の分析…北海道出土の鉄器について、その由来を検討するために、東北と北海道とで、統一的なデータベースの作成に入った。前年度にフォーマットが決定していたが、それに基づいてデータを入れていく作業に入った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に記したように、交付申請の各項目について、3年目の作業目標は、ぼ予定通り達成された。また最終年度開催予定の秋田城跡での総括シンポに向けての準備を、すべて整えることができた。ただ土器類のデータベースと須恵器の自然科学分析がやや遅れているが、最終年度前半には纏めることを計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、本科研の最終目標である秋田城の北方支配の実態解明について、これまで積み重ねてきた各分野毎の成果を統合し、再整理して、それぞれの立場から最終報告をしていただくための、秋田城の性格をめぐる総合シンポジウムの場を設定している。討論に十分時間を割き、全体として明確な結論を得るよう努めるよう計画している。すでに報告者も確定しているので、それぞれの立場からの、まとめのための補充調査も計画している。またこれまでの研究成果をうけて、若干の新しい視点が必要となってきているが、新たに若干の外部研究者を上記のシンポジウムに招聘して、より明確な結論を得るよう努めることとしている。 その成果はシンポジウム終了後、できるだけ速やかに刊行して広く学界に成果を提供する予定である。
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Research Products
(14 results)