Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 和彦 福岡大学, 人文学部, 准教授 (60412566)
門田 岳久 立教大学, 観光学部, 助教 (90633529)
法橋 量 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (40634192)
森 明子 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00202359)
山 泰幸 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (30388722)
島村 恭則 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10311135)
松田 睦彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (40554415)
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Research Abstract |
本研究は,民俗学的実践と市民社会の関係性を,大学・文化行政・市民活動の社会的布置を主眼に,日独の比較研究から導くことを旨とするが,調査地に選択したハンブルグが,ハンザ同盟以来の国際都市として移民や海外交流が極めて盛んな地だったことから,エスニシティの問題も重視した。当地での日中韓の移住者の「日常」比較も研究に含み込み,例えば中国系の人々のエスニシティ再構築に関し,主に遠洋航海船乗組員の組織した中華会館の活動展開を調査するなど,具体的なフィールドワーク対象から接近した。 中国系定住者が40名程度だった1890年代に(一定の移動性は保持),専ら負傷で船員続行の困難になった者への職の斡旋や生活援助を主活動とした中華会館が,定住者が200名以上となる1910年頃から,ナチス政権下の華人社会崩壊を挟んで,戦後,活動をどのように拡張していったか,その変遷を追究するとともに,2世代3世代目の華人の誕生に伴い,現在直面している課題,例えば親族のいなくなった墓地管理や高齢者介護の現状も調査した。5千人超の中国系に対し,日系2千人韓国系3千人も,人数は少ないものの,墓地管理や高齢者介護では同じ問題を抱えるが,その対応はそれぞれ微妙に異なっている。 これと並行して今年度,次期の研究展開を期して,2013年5月12日13日に中国4名韓国3名の民俗学者を招聘し,東アジアの民俗学研究に現代ドイツ民俗学のキーワードである「日常」や「市民」「普通の人びと」「社会-文化」といった概念や,その方法論・認識論を,どのように受容できるか,今後のための検討会を行った。次年度以降、相互に国際シンポジウムを開催し,現在微妙にニュアンスを異にする基本的諸概念の再検討から,土台固めをしつつ,積極的に協働していくことで合意した。ドイツ民俗学の「日常」研究を具体的に理解するための,映像民族誌の日本語字幕版も制作した。
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