2011 Fiscal Year Annual Research Report
修復的司法から修復的正義へ-理論と実証のクロスロード-
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23330001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松村 良之 千葉大学, 法経学部, 教授 (80091502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 勝造 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40152136)
木下 麻奈子 同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
白取 祐司 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10171050)
城下 裕二 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90226332)
長谷川 晃 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90164813)
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Keywords | 法心理学 / 刑事法学 / 修復的司法 / 正義論 / コミュニティ |
Research Abstract |
A班(心理学班)は、研究の第一ステップとして、一般の人々が抱く「正義」についてのimplicit assumptionを明らかにするという観点から、公正の心理学の文献(手続き的公正、分配的公正、応報的公正)をレビューした。さらに、レビューにとどまらず、迷惑施設の建設に関するシナリオ実験(Web調査)を行い、秩序回復の手段として手続的正義の果たす可能性と限界について分析した。このことによって、修復的正義を心理学的に構成する手がかりを得るとともに、2012年度に予定されている「正義」についてのimplicit assumption調査につなげることが出来た。 B班(法哲学班)は、一方でアリストテレスの正義論に遡りつつ、また、他方では民族和解なども視野に入れつつ、正義の概念を法哲学的に整理した。さらには、正義の観念と深く関連する、平等および権利の観念について考察した。この問題は通常の分配的正義や応報的正義の問題に加えて、修復的正義における当事者間の利益の権衡とも関係がある。後者の文脈においてはコミュニケーション的な対等性が重要であり、そのための手続的制約の基本条件となることの見通しを得た。 C班(刑事法学班)は、修復的司法の制度化という観点から、加害者被害者和解に関する外国の制度を比較法的に考察した。フランスポワチエ大学の刑事法の教授などの協力も得て、まず、フランスにおけるこの種の制度について、法的枠組みだけではなく、社会的実態にまで立ちいって考察した。 そして、A班、B班、C班の研究の統合を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は準備研究の段階であるが、準備研究としてはおおむね順調に進展し、来年度の研究につなげることができる
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、心理学班は予備調査、本調査と進行し、法哲学班、刑事法学班はそれぞれの担当部分を深化させ全体の統合を図る。
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Research Products
(9 results)