2011 Fiscal Year Annual Research Report
刑事司法制度における再犯防止概念の再検討と福祉的ダイバージョンの研究
Project/Area Number |
23330022
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土井 政和 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (30188841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 真理 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10302283)
斎藤 司 龍谷大学, 法学部, 准教授 (20432784)
佐々木 光明 神戸学院大学, 法学部, 教授 (70300225)
渕野 貴生 立命館大学, 大学院・法務研究科, 教授 (20271851)
正木 祐史 静岡大学, 大学院・法務研究科, 教授 (70339597)
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Keywords | 再犯防止 / ダイバージョン / 福祉 / 刑事司法 |
Research Abstract |
(1)理論的検討 ダイバージョンの中で福祉的支援を活用することが求められるようになった。従来のダイバージョンは被害者への慰謝や本人の反省といったものが重視されてきたが、むしろ近時は本人の社会復帰や生活再建が重視される傾向にある。再犯防止概念の再検討も踏まえ、本人の立ち直りに資するようなダイバージョンの在り方を検討する必要がある。実際の事例では、福祉機関が再犯防止を担うような状況もみられる。例えば、福祉関係者の中には保護観察付執行猶予で福祉を受けることを義務付けてもらった方がよい、といった見解も見られる。南高愛隣会の研究成果等も参照しつつ、福祉的ダイバージョンの「あるべき方向性」を示すことの必要性を確認した。そのための文献収集を行った。 (2)地域生活定着支援センター等の実態調査 (1)国内調査長崎、栃木、大阪、滋賀の各定着支援センターを訪問し、質問票に基づいてヒアリングを行った。この中で、定着支援センターの業務は出所者支援が中心とされているが、被疑者・被告人段階から支援を行っていくことの重要性が明らかになった。また、高齢者・障害者による事件で福祉との連携を考慮した事例を経験した弁護士からヒアリング調査を行った。 (2)国外調査フランスのトゥールーズ管区保安病院、ミュレ拘禁センター、トゥールーズ刑罰センター、矯正研修所、依存症アソシエーション、刑罰センター、2年以下の短期刑務所、Maison d'arret、Mission Localeなどの訪問、刑罰適用判事、SPIPへの聞き取りなどを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的・制度的研究では、一定の文献及び資料収集を行うことができた。また、実態調査については、国内の地域生活定着支援センターのヒアリングを行い、また、外国調査として、フランスの調査を行うことができた。本研究に密接に関連する、前年度までの科研費による研究成果として、『非拘禁的措置と社会内処遇の課題と展望』(現代人文社、2012)を出版できたことも考慮すると、おおむね順調に進展しているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)理論的・制度的研究引き続き、文献及び資料収集を行い、再犯防止概念を再検討するとともに、各国のダイバージョン制度についての調査を行う。 (2)実態調査 (1)国内調査では、更生保護施設、自立更生促進センター(福島・北九州)、就業支援センター(沼田・茨城)、その他、A-Unit、ほっとポット等の民間団体のヒアリングを行う。 (2)外国調査では、昨年のフランスに続き、北欧、ドイツ、イギリス、オーストラリア、アメリカなどのダイバージョンと福祉的支援の関係について調査を行う。
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Research Products
(2 results)