2012 Fiscal Year Annual Research Report
民法物権編の全面改正を目指してーーフランス物権法改正草案を素材とする包括的検討
Project/Area Number |
23330028
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平野 裕之 慶應義塾大学, 法務研究科, 教授 (80208842)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳 春一郎 獨協大学, 法学部, 教授 (00153685)
片山 直也 慶應義塾大学, 法務研究科, 教授 (00202010)
吉井 啓子 明治大学, 法学部, 教授 (00306903)
山城 一真 早稲田大学, 法学学術院, 助教 (00453986)
吉田 克己 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (20013021)
高 秀成 金沢大学, 法学系, 准教授 (50598711)
森田 宏樹 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70174430)
金山 直樹 慶應義塾大学, 法務研究科, 教授 (90211169)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 物権法改正 / 財の多様化 / 無体物 / フランス物権法 / 都市問題 / 集合財産 / 財産管理 / 用益権 |
Research Abstract |
本研究は、フランス民法典物権法改正準備草案を手掛りとして現代社会に適合した新たな体系的物権法のあり方を提案するものである。平成23年度においては、2011年9月21日、22日の北海道大学で開催されたシンポジウム「21世紀における物権法改正に向けて―日仏比較研究」を成功裏に終了することができた。平成24年度は、このシンポジウムの成果を内外に問うとともに、平成26年度開催予定の私法学会のシンポジウムに向けて基礎研究を一層深めるとともに、これら研究を基にして具体的な日本物権法の問題点と課題を洗い出し、具体的な改正提案の策定作業の準備を行うことを目標とした。 まず、平成23年度のシンポジウムの成果報告については、国内においては、法律時報および新世代法政策学研究に論稿および議論内容を掲載することで広く公表することができた。また、フランスの研究者との協同のもと研究書を出版した。月一度の研究会においては、主にこれら研究公表のための打ち合わせおよび内容検討を行うとともに、シンポジウムの内容を踏まえて私法学会における報告のための検討を行った。 このほか、より広い観点から日本物権法の改正課題を検討すべく、民法のほかの専門分野の研究者を招聘し、知的財産法や身体と財産に関するテーマを設定し、研究会を開催した。以上の作業を経て、私法学会における報告内容および報告者を決定するとともに、チーム内における日本物権法改正に向けての具体的作業および課題を設定することが可能となった。 以上のとおり、24年度の主要な研究実績の概要として、1、国内外における研究内容の公表、2、私法学会に向けての作業および③日本物権法改正に向けての検討課題設定、を挙げることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度のシンポジウムの成果報告について、何等かの方法での公表を予定していたところ、国内においては、法律時報という有数の法律雑誌を媒体として公表できた。また、新世代法政策学研究においてはシンポジウムの内容を基盤とした多数の論文および質疑応答を掲載することで、より詳細なかたちで研究成果および議論内容を公表することができた。以上に加えて、フランスにおいて同国の研究者と協同して〝LE PATRIMOINE AU XXIe SIECLE″(『21世紀の財:日仏間の視線の交錯』)と題する研究書を出版することにより、国外に本研究の問題意識を投げかけることができ、同書は国内外で注目を集め、高い評価を得た(なお、同書は仏人研究者2名のほか、研究分担者である金山直樹および片山直也が編集者となった。同書内の研究代表者および研究分分担者による各論文は本報告書内「研究発表〔雑誌論文〕」の項目に記入した。)。このように、昨年度に予想していた以上に、これら媒体を通じて広範に研究成果を公表することができた。また、これら公表作業を通じて、本研究をより一層深化させることができた。 さらに、日本物権法改正作業に関連して、物権法と隣接領域とを横断して検討する作業においては、知的財産法の専門家などの協力を得ることができ、研究会を通じて日本物権法の問題点をより明確にすることができた。 加えて、本研究の基軸の一つである私法学会におけるシンポジウムの準備作業に関しては、平成26年の開催を決定することができた。そして、日本物権法改正作業に関しては、具体的な検討対象を設定することができ、本年度で遂行すべき課題を明確化することができた。 以上のとおり、まず、研究成果の詳細かつ広範な公表、そして、私法学会および日本物権法改正作業の進展を理由として、本研究目的は当初の計画以上に進展しているという区分のもと、評価を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、平成23年度および平成24年度の研究成果を総合し,具体的な物権法改正草案作成および私法学会シンポジウム開催に向けての作業に取り掛かる。 以上の作業遂行を目的として、私法学会シンポジウム開催のための基礎理論発表および物権法改正の検討作業のための研究会を、年12回開催する予定である。また研究会の外においては、シンポジウムの開催に向けてフランス物権法の理論的検討を継続するとともに、物権法改正草案の作成に向けて、技術的な面を含めてフランス物権法改正草案作成作業の経験から学ぶべく、緊密にフランスの民法学者と連携した研究を行うこととなる。さらに、草案作成までの技術的調整など詳細な作業を行うために、平野・片山・山城・高の参加する検討合宿を金沢で2度開催する予定である。以上に加えて、知的財産法などの隣接法領域やドイツ法からの知見を取り入れるべく、これら分野の専門家を招聘しての研究会も開催することとする。 以上の作業遂行のために、物権法改正検討班と基礎理論検討班の二つの班を設定し、それぞれに各メンバーが所属し、各班における作業割当てのもと、研究成果をまとめることとする。物権法改正検討班は具体的な改正課題の検討と改正提案の策定を目的とし、基礎理論検討班は私法学会における報告を目的とする。これら二つの班の協同作業により、日本物権法の体系および解釈学上の到達点を睨みつつ、平成23年度および平成24年度の研究によって得られたフランス物権法の研究成果が、両国間の制度的相違に留意し、整合的かつ実際的な提案として公表されることが期待される。また、具体的な改正提案として反映できない理論的な問題については、私法学会シンポジウムにおいて取り上げて公表することとし、物権法改正検討班がサポートを行うことが予定されている。
|
Research Products
(32 results)