2011 Fiscal Year Annual Research Report
「E―サポート民事紛争処理システム」の構築のための比較法的総合研究
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23330029
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川嶋 四郎 同志社大学, 法学部, 教授 (70195080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 賢治 同志社大学, 大学院・司法研究科, 准教授 (20363012)
上田 竹志 九州大学, 大学院・法学研究院, 准教授 (80452803)
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Keywords | 民事訴訟法 / IT(ICT) / 民事救済法 / 司法制度 / 司法改革 / ADR / 法曹 / 法律相談 |
Research Abstract |
本研究は、これまで代表者である川嶋が行ってきた「救済法」研究と「e-サポート裁判所」研究の成果を踏まえた「法のライフライン」構想の集大成として、「e-サポート民事紛争処理システム」の全体像を具体的かつ総合的に提示し、日本における民事救済手続システムの完成を目的としている。 この研究を通じて、「民事司法へのユビキタス・アクセス」を現実に実現するために、手続への恒常的アクセスの過程とその手法および紛争処理手続過程の詳細を提言し、「e-サポート裁判所」を中核としつつ各種ADR機関との連携・統合を実現し、ICT(Information and Communication Technology)を活用した「e-サポート民事紛争処理システム」の具体的設計とそのための諸種の課題に取り組み、「法のライフライン」構想を具体化するための基礎的研究を開始し、そのための資料収集等にも着手した。 本研究は、民事手続過程をトータルに研究してきた川嶋を研究代表者として、民事訴訟審理の研究をはじめ、裁判官の役割等についての比較法的研究を行ってきた園田(研究分担者)と、リーガルXMLを本格的に研究する数少ない民訴研究者でありICTに関わるシステム・エンジニアとしての職歴をも有し、かつ法哲学・法社会学的見地から民事訴訟の基礎的研究に取り組んできた上田(研究分担者)とが、連携を密にした比較法的な総合研究を行い、「ICT化した民事紛争処理システム」の全体像を具体的に提言することが、本研究の最大の眼目である。 第1期である今期は、本共同研究者各自が、上記目的に即した研究計画およびすでに収集予定の基礎資料を収集し、今後の計画とその方法を具体的に再確認した。このほか、基本的には、各自がそれぞれの役割分担領域に焦点を当てた調査研究を行ったが、特に、川嶋は、中央から遠く離れた裁判所等(利用者である当事者を含む。)を調査し、さらに、とりわけ東日本大震災被災地等を巡り、被災者の法律相談・遠隔裁判・遠隔ADR等の可能性について、基礎的資料を獲得することにも努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初年度であり、研究目的および研究実施計画に従い、限られた時間の中で、研究課題を実現するための基礎資料(基礎文献など)を収集することに努めることができ、また、中央から遠く離れた日本の地方と呼ばれる地域における裁判所およびそこにおける当事者等を調査するフィールド・ワークも行い、今後の研究の基礎を、ある程度得ることができたので、(2)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今期に引き続き、来期もまず基礎資料の収集に努めつつ、フィールド・ワークも継続する。 各自の担当領域における研究と、相互の定期的な調査検討および議論の結果を踏まえて、具体的な理論分析、理論展開のための共同でのICTの活用などを通じて、検討を実施する。 この期においては、できるだけ早い時期に、できれば、ICT化が進展している海外の裁判所および紛争処理機関の視察を行い、関係者との間で意見交換を行いたい。特に、アメリカ各州等の海外視察を行い、裁判所のICT化に関する最新の現状の把握と、そこにおける制度設営者の声だけではなく、利用者たちの声にも耳を傾けつつ、紛争解決過程全体のICT化を実現するための基本的な青写真を描くことに努めたい。
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Research Products
(4 results)