2012 Fiscal Year Annual Research Report
情報通信技術が雇用と社会的厚生に与える影響の政策シミュレーション
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23330098
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鵜飼 康東 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70098101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 真治 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (80254449)
村田 忠彦 関西大学, 総合情報学部, 教授 (30296082)
榎原 博之 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50194014)
千田 亮吉 明治大学, 商学部, 教授 (80179944)
竹村 敏彦 関西大学, ソシオネットワーク戦略研究機構, 助教 (00411504)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 政策シミュレーション / 情報通信技術 / マクロ経済学 / 計量経済学 / 日本経済 |
Research Abstract |
本研究の目的はクラウドコンピューティング(以下、クラウドと略する)の経済的影響を分析し、動学的一般均衡モデルによるシミュレーションを実施することである。クラウドにはパブリック(以下、Puと略)クラウドとプライベート(以下、Prと略)クラウドの2種類が存在することが既に判明している。平成24年度に、研究分担者の渡邊と研究代表者の鵜飼は第1回調査結果の統計分析を行い、「クラウドが経済成長に寄与する」と考える傾向が強い企業ほどPrクラウドを積極的に導入する事実を発見した。従って生産関数に情報通信技術(以下、ICTと略する)を導入する場合にPrクラウドとPuクラウドの比率を導入することが必要である。同時に、所得と余暇を独立変数とする効用関数が職場におけるコンピュータの導入によって上方にシフトする事実を発見した。研究分担者の榎原と村田は各々WORLDCOMP'12とSC12(共に米国)に参加し、最新のICTについての資料収集を行った。研究分担者の千田は動学的一般均衡モデルにおいて政策変更の効果がどのように現れるのかという点を検討した。この結果、動学的一般均衡モデルでは財政政策などの政策よりも生産関数のシフト要因が影響を与えることが判明した。さらに、研究分担者の竹村と村田は新規調査項目を設計した。動学的一般均衡モデルを作成するためには、資本をICT資産と非ICT資産に分割する必要があるので調査項目に追加した。また、Prクラウドの差分とPuクラウドの差分をICT資産の割引率として追加した。これまでの研究成果について北米の研究者と討論を行った。「ICTを効用関数に組み込むことは妥当ではない」との意見が大半であった。この点について検討を進めるために平成25年2月に第2回クラウド調査(第1回調査未回答企業1,918社対象)および3月に第2回再調査(第1回調査回答企業418社対象)を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に予定していた中小企業対象の調査については、「東京証券取引所上場企業のパネルデータが整備されてから行うべきである」との結論が出た結果、実施を平成25年度に繰り下げた。しかしながら、すでに都道府県別に事前割り付けを行った中小企業4,501社(資本金5000万円以下)の本社所在地住所、産業分類、従業員数についてのリストを作成済である。従って平成25年5月に中小企業対象調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度と24年度の研究成果をシカゴ大学およびハーバード大学において研究代表者の鵜飼が報告し、討論を行った。アメリカの研究者は情報通信技術の影響を効用関数に組み込むことは経済学的に妥当ではないと主張した。すなわち、情報通信技術の影響は生産関数に組み込むことに限定すべきであるという主張である。この反論を受けて、われわれは、2種類の動学的一般均衡モデルを構築すべきであると考えるに至った。従って平成25年度に構築するモデルは、生産関数に組み込むモデルと、生産関数と効用関数を同時に組み込むモデルの2種類の予定である。
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Research Products
(14 results)