2011 Fiscal Year Annual Research Report
新公共経営(NPM)時代の自治体経営効率化に向けた実証的、理論的財政分析
Project/Area Number |
23330105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 伸郎 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (50275301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 愼 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (70093565)
山内 直人 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (90243146)
倉本 宜史 甲南大学, マネジメント創造学部, 講師 (70550309)
広田 啓朗 名古屋商科大学, 商学部, 講師 (10553141)
湯之上 英雄 千葉商科大学, サービス創造学部, 講師 (10509590)
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Keywords | 財政運営の効率性 / 行政評価 / 新公共経営(NPM) |
Research Abstract |
平成23年度の研究の方向性を確認するための全体会議をメンバーが学会員であることから集まりやすい、同年度日本地方財政学会会場(沖縄県那覇市)にて行った。会議を基にした具体的研究内容は次のようになる。まず、政府の厳しい財政状況において、効果的・効率的・公平的な教育財政システムの構築は不可欠であることから、全教育段階を網羅した教育資金配分の実態を把握するための基礎作りとして、文科省への聞き取り調査等を行なった。そして教育財政に関する既存の政府統計データを整理し、設置形態・教育段階を網羅した公教育費データ整備の準備を行った。同様に公共交通システムとしての港湾も対象に、地方自治体での聞き取り調査を行い、国内港湾における枠割分担を明確にした整備の必要性の実例を把握した。また港湾設備に関する資料を入手している。資料を基にした港湾の「民営化」以前の港湾運営効率化の状況を把握する研究では、規模や歴史のある港格の高い港湾において効率性が高く、運営のノウハウ蓄積の効果を示せた。また論文を執筆し、国内学会や研究会で報告した。 さらに財政運営の効率化に関する在り方について実証分析を実施するため、地方自治体の財政データの収集と整理も行った。地方財政に関する実証分析の先行研究のサーベイも実施し、確率フロンティア分析や包絡線分析にとどまらず、その他の計量分析の手法についても検討し、財政運営の効率化の政策提言につながる分析手法の洗い出しを実施した。 さらに、地方自治体の行財政改革の取組みについて聞き取り調査やデータ収集を主に行った。特に、どのような市町村が行政評価を導入しているのかを聞き取り調査のみならず、導入市町村のデータを構築し基礎的な計量分析を実施した。分析から行政評価導入による成果・課題を明らかにするとともに論文を執筆し、国内学会や研究会で報告した。また、論文は査読付き雑誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である平成23年度に実施すべきであると計画した、地方自治体が直接供給する公教育、公共交通のNPMを活かした効率的運営の取り組みついて、また、NPMの考え方を活かした地方自治体の行財政改革、行政評価手法のあり方についての「地方自治体の財政データの収集と整理」は当初の予定通り聞き取り調査とデータ、資料の情報公開請求によって達成できた。また、先行研究のサーベイも順調に達成できており、財政運営の効率化の政策提言につながる分析手法の検討に入ることができている。それらに加え、収集したデータを元に予備的な実証分析を行い、学会や研究会等での研究発表も実施している。これは想定通りの研究の達成度合いである
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画で予定していた通り、本年度は、国際ワークショップを開催し、国際的に価値のある研究の方向性を探る。具体的には、オーストラリアの自治体政策を研究する研究者および実務者とともに、国際会議を行う。また、順次入手した統計データを元に実証研究を行い、論文の執筆と国内外での学会での報告、研究雑誌への投稿を予定している。
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