2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の労働市場における外国人労働者の参入と定着に関する社会学的研究
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23330158
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
倉田 良樹 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (60161741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 史子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 准教授 (40386652)
宣 元錫 大阪経済法科大学, アジア太平洋研究センター, 客員研究員 (10466906)
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Keywords | 外国人IT技術者 / 外国人技能実習生 / フィリピン人女性エンターテイナー / 構造化理論 |
Research Abstract |
1.実証研究 (1)情報サービス産業におけるIT技術者 00年代以降の日本の情報サービス産業において急速に増大したアジア諸国出身の外国人IT技術者について、送り出し側、受け入れ側双方の様々なアクターを対象とした聞き取り調査を実施した。(1)送り出し国政府の政策や日本政府との政府間交渉、(2)送り出しに関わる仲介システム、(3)技術者自身の日本語能力、技術力などの要因が日本の労働市場における外国人技術者の位置を強く規定していることが発見された。この研究成果の一部は宣および松下(研究協力者)が移民政策学会において報告した。 (2)自動車部品産業・縫製産業等における外国人技能実習生 製造業における外国人研修生・技能実習生が90年の入管法改正以後、着実に増大してきた経緯について、文献サーベイを行うとともに、関係当事者からの聞き取りを行った。外国人技能実習生の増大を90年代における製造業の雇用慣行の根本的な転換との関係で位置づける必要があることが明らかになった。 (3)遊興飲食店におけるフィリピン人エンターテイナー 2005年の入管規制の強化によって大幅に減少した日本の遊興飲食店で働くフィリピン人女性エンターテイナーについて、80年代にまで遡って、その歴史的な経緯の検証を行った。さらには、05年の規制強化以後も日本での滞在と就労を継続している人々の状況についても聞き取りを行い、日本の遊興飲食業という特殊セグメントの就労機会がもたらしているリスクと機会の構造を探り当てることができた。 2.理論研究 国境を越えた労働者が異国の労働市場に参入・定着する過程を規定する様々な要因を社会学的に分析するための理論的な枠組みを開発するための文献研究を行った。この研究成果の一部は、倉田が『一橋社会科学』に寄稿した論文のなかで公表される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度においては、文献研究の成果を早い段階からとりまとめることができ、これを実態調査のなかで活かすことができた。メンバー間の研究打ち合わせによる情報の共有も順調に行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の国内調査、韓国調査、フィリピン調査で構築された調査先とのラポールを平成24年度においても活用し、さらに継続的に調査を遂行することを予定している。平成23年度の研究で得られた成果について、学会報告などで、積極的に公表を行っていきたい。
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[Journal Article] 第1部総論2012
Author(s)
倉田良樹・ソンウォンソク・津崎克彦
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Journal Title
財団法人国際研究協力機構『外国人技能実習生受入実態調査:外国人技能実習制度の活用を通じた中小企業の海外展開に必要な人材を育成する取り組みについて』
Pages: 1-14
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