2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330162
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
野口 道彦 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 名誉教授 (00116170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古久保 さくら 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 准教授 (20291990)
島 和博 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 教授 (50235602)
妻木 進吾 目白大学, 社会学部, 講師 (60514883)
上杉 聰 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (60573673)
櫻田 和也 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任講師 (70555325)
吉村 智博 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (70599282)
大賀 喜子 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (80599283)
齋藤 直子(岸直子) 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (90599284)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 都市部落 / 同和行政 / 社会階層 / ジェンダー / 社会的排除 / 同和地区 / 戦後 / 大阪市 |
Research Abstract |
(1)大阪市内の同和地区12のうち、浪速、平野、飛鳥、両国、南方の5地区および大阪市人権協会の関係資料の整理を行い、書誌情報を入力した。これによって、大阪市内の同和地区12地区すべての同和事業関連の資料12,969点のデータベースが完成した(担当は野口・上杉・吉村・島)。 (2)都市部落における「主体」の形成過程と地域の変容をさらに深化させるべく、四国4県の資料調査をおこない1920~1950における部落問題の質的・量的変容を探った。(吉村が担当) (3)これまでに部落解放運動を担ってきた22名の女性にヒアリング調査をおこなってきた。戦後の運動の黎明期の活動を担った女性から、法期限切れ後の新しい活動をはじめた女性まで、あらゆる年代の女性活動家たちに聞き取りをおこなった(担当は古久保・大賀・斎藤)。 (4)「都市部落の変容」がもたらした社会階層構造の変化を明らかにするために、2008年「住宅・土地基本調査」の市区町村別の世帯所得データをもちい、2000年の国勢調査の町丁目の関連データにより、町丁目ごとに所得階層分布の推計を行った。各種の推計方法による結果を分析吟味した結果、妥当とみなせる推計が得られた。その他、公営住宅団地および道路交通網など都市インフラ建設の変遷を地図によって確認し、社会階層的データを視覚化し、大阪市全体の中で12地区の階層的位置を明らかにした(担当は島・妻木・櫻田)。 (5)昨年度にひきつづき、12の同和地区の同和関係資料を活用しながら、戦後の都市部落の変容過程を明らかにする研究会を毎月、定例的に開催した。この研究会には、行政、教育の関係者、運動団体など地元関係者などが参加しているため、研究報告については貴重な意見を伺うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)大阪市内の同和地区12のすべての同和事業関連の資料12,969点のデータベースを完成し、地区別、文書作成時期別、キーワードなどによる検索が可能となり、大阪における同和事業や解放運動を研究する基盤をととのえることができた。 (2)大阪市の同和行政の特徴をあきらかにするために他府県、他都市の都市部落のデータを収集し、また戦前の関連事業も視野にいれて分析をすすめている。 (3)部落解放運動をジェンダー的視点から検討を加えるために女性活動家たちからの聞き取りを行い、それを文字データにし、データの共有化を行っている。 (4)既存の官庁統計を活用して、多変量解析を行い、町丁目ごとに所得階層分布の推計を行うことができる見通しを立てることができた。 (5)昨年度にひきつづき、戦後の都市部落の変容過程を明らかにする研究会を2012年度は9回開催することができた。報告報告については、行政、教育の関係者、運動団体、地元関係者などの参加者から多角的に意見を聞くことができ、議論を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 大阪市内の同和地区12地区の同和事業関連の資料については、公開とプライバシーとの関連があり、慎重な取扱いを要する。現在は公開から一定の制限のものでの閲覧までいくつかの暫定的な分類を行っているが、関係各機関と協議の上、さらに実用可能なものにして行きたい。 (2)本年度は最終年度にあたるために、同和地区12地区の同和事業関連を活用して、いくつかのテーマに絞って、戦後の都市部落の変容過程をあきらかにする研究をまとめていきたい。 (3)戦後の同和対策事業が、「属地・属人主義」で対象者を限定する形ですすめられてきたが、特別措置法後、行政による同和対策事業に依存しない部落解放運動や、社会的不平等、疎外・排除に苦しむ人たちをも巻き込んだあらたな社会運動が模索されている。そのような取り組みに焦点を絞りながら、戦後の都市部落の変容過程を明らかにしてゆきたい。 (4)また、既存の官庁統計データを活用して多変量解析によって町丁目ごとの社会階層関連データの地図化をさらに精緻化してゆく。
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Research Products
(12 results)