2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期気質に関する20年間の時代変化と規定要因についての学際的研究
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23330208
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Research Institution | Kokugakuin University Hokkaido Junior College |
Principal Investigator |
草薙 恵美子 國學院大學北海道短期大学部, 幼児・児童教育学科, 教授 (90341718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 仁知 奈良女子大学, 生活環境学部, 准教授 (70202158)
安達 真由美 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30301823)
陳 省仁 光塩学園女子短期大学, 保育科, 教授 (20171960)
星 信子 札幌大谷大学短期大学部, 保育科, 准教授 (20320575)
大石 正 奈良佐保短期大学, 生活未来科, 教授 (30112098)
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Keywords | 幼児 / 気質 / 発達心理学 |
Research Abstract |
本研究目的は、子どもの気質の20年間のコホート変化、幼稚園児と保育所幼児との気質発達における違いの有無、気質発達への心理社会的要因及び環境化学物質の影響の有無、を明らかにすることである。よって本年度は以下のことを実施した。1.化学物質等の発達への影響についての文献レヴューを行い、メチル水銀、ダイオキシン類等が魚介類を介して摂取されるという結果を基に、魚介類汚染データの検討、並びに北海道、関西地区での販売魚介類を調べ、食事調査項目を作成した。また、化学物質悪影響と拮抗する家庭環境についての項目、社会疫学的観点からの項目を追加し、気質質問項目と合わせて大規模調査票を作成した。本調査票を幼稚園児に配布し約30名からの回答を得たが、回収率が低いため項目をさらに精選した。2.リアルタイムで子どもの生活状況を調べるための質問項目を作成し、承諾の得られた11名の母親に携帯メールを送り、web上での回答を求めた。概ね問題なく回答が得られることが確認された。3.縁故者に毛髪提供を依頼し、誘導結合プラズマ質量分析計による毛髪分析手法確立のための実験を行った。標準毛髪サンプル水銀量にほぼ一致する数値が得られることが確かめられた。しかし、応募者からの送付毛髪量は不十分であったため、毛髪採取方法等を変更した。4.文献レヴューより紙面調査のみでは化学物質影響要因を検出できない可能性が考えられたため、実験室で母子行動観察の予備実験を行った。5.大規模予備調査での子ども及び母親の気質に関連する諸要因について探索的に検討した。子どもの気質発達は食生活(野菜、脂の少ない魚、缶詰やコンビニ等の食品摂取)、育児行動、育児信念、妊娠中の喫煙状況、胎児への働きかけ等との間に有意な相関がみられた。一方、母親の気質は、授乳期間、幼児の食生活、育児信念、胎児・子どもへの働きかけ等との間に有意な関連性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の計画通り、調査項目を作成して予備調査を実施し、結果を分析した。次年度本調査のための協力者募集は山口県、奈良県、山梨県、北海道(2地域)の幼稚園・保育所で行う了承が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
大規模集団を対象とした質問票調査、及び中規模集団を対象としたweb調査、質問票調査、毛髪検査を実施する。予備調査結果に基づき、質問票項目を削減することで回収率の向上を図る。携帯電話調査への円滑な参加のため募集方法を一部変更する。毛髪回収では、必要量の毛髪確保のため提示する毛髪写真の差し替え、採取方法の変更により回収毛髪量のアップを狙う。また、予備的に実施した実験場面での母子の行動を適切に評価するためのコーディング手法を開発する。得られた調査結果を分析し、日本教育心理学会、日本発達心理学会で発表し、国際学会(SRCD)への発表申し込みを行う。
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