2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330217
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
入戸野 宏 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20304371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 政嗣 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (60352019)
金井 嘉宏 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60432689)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 感情 / 認知 / 感性 / 心理生理学 / デザイン |
Research Abstract |
“かわいい”は,現代日本のポップカルチャーを代表する言葉であり,日常生活のさまざまな場面で用いられる。本研究では“かわいい”を感情としてとらえ,その特徴と機能について心理(主観)・生理・行動の3側面から検討する。本年度は3年計画の2年目(基礎フェーズ)として,これまでに得られたデータを追加分析するとともに,新たな実験・調査を実施した。 主な成果は,以下の3点である。(1)幼児と成人の顔面形状パラメータから,多変量解析によって,年齢に関連した軸と年齢と独立した軸を抽出した。それぞれの軸上で幼児の標準顔を基準に,±3SD,±2SD,±1SD変化させた顔を合成した。一対比較を用いた予備調査から,年齢とは独立した軸上でもかわいさの評定値に違いがあることが分かった。この結果は,かわいさが幼さだけでは説明できないという仮説を支持している。(2)さまざまな対象に抱く“かわいい”感情に共通する要因について質問紙調査によって検討した。その結果,対象によって“かわいい”感情の質は異なるが,共通して「接近動機」に関連していることが示された。(3)“かわいい”感情を持つ頻度とパーソナリティ特性についての質問紙調査を分析し,自閉症傾向(想像力の欠如)やサイコパシー傾向(共感性の欠如)の高い人は,かわいいものに対する興味が低い傾向があることが分かった。この結果は,“かわいい”感情が社会性に関連するという仮説を支持している。 これらの成果に加え,2012年9月に発表した「かわいいものを見ると集中力が増す」という論文の反響が国内外で大きかったため,各種メディアや学会シンポジウム等を通じて積極的に情報発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果が新聞等で取り上げられたために,研究の重心が当初とはやや異なる方向に移ってきた。“かわいい”とは何かについての理論構築と,かわいいものが行動に及ぼす効果の整理については,予定以上に進んでいる。その反面,かわいいものに出会ったときの心理生理的変化を調べる実験の実施がやや遅れている。しかし,全体としてはおおむね順調に目標を達成できているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
理論構築は十分に進んだので,最終年度はそれを検証する実験に力をいれたい。また,新聞等で取り上げられたために企業からの引き合いも多くなってきた。当初の計画にそって“かわいい”感情を産業に応用する可能性についても検討したい。
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Research Products
(9 results)