2011 Fiscal Year Annual Research Report
知識基盤社会におけるアカデミック・インテグリティ保証に関する国際比較研究
Project/Area Number |
23330222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
羽田 貴史 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (90125790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 和弘 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (30397921)
立石 慎治 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助教 (00598534)
佐藤 万知 東北大学, 高等教育開発推進センター, 講師 (10534901)
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Keywords | 高等教育 / 学問の自由 / 産学連携 / 国際研究者交流 / 研究倫理 |
Research Abstract |
海外調査としてイギリス,アメリカ,オーストラリア,東ヨーロッパ,中国の調査を行い,国レベルの研究不正対応策と大学レベルの取り組み,研究者との意見交換や情報収集を行った。また,アメリカから産学連携の専門家(Roger Geiger)を招へい,香港からアカデミック・インテグリティの専門家であるBruce Macfarlaneを招へいし,それぞれ,2月,8月にセミナーを開催した。国内調査としては,北海道大学,東京大学,広島大学,日本私立大学協会,日本学術振興会,日本学術会議の調査を行い,国内大学における研究倫理保証の体制や,国レベルのシステムについての情報収集を行った。特に,日本学術会議の科学と社会常置委員会の活動を精査し,「科学におけるミスコンダクトの現状と対策」の策定過程に関する資料を収集した。国内研究会としては,メンバーによる研究会を開催したほか,産学連携が大学にもたらす影響を明らかにするために,上智大学・上山隆大,ブリストル大学北川文美氏を招へいしたセミナーを開催した。このほか,学問的誠実性に関する文献・図書約50点を収集した。これらの活動を通じて,従来の研究不正に加えて,利益相反問題が誠実性に関する重要問題として顕在化し,その背景には,産学連携,資金の多元化による資金提供者へのアカウンタビリィと学問的誠実性との相反関係に加え,政府資金による研究においても同様の問題が生起していることが明らかになった。また,各国において,政府・学会・機関レベルでの防止策が進められているが,日本の取り組みは,きわめて遅れていることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,東日本大震災の影響を受け,平成23年度経費の一部を平成24年に繰り越したが,3回にわたる国際セミナーを開催し,5カ国において調査を実施することができた。研究会の開催は3回にとどまったが,世界的な教育と研究に関する倫理保証の動向を把握し,今後の機関調査のための知見が得られた。また,各国の政策動向や個別大学の仕組みに関する情報と資料が得られ,次年度以降の研究進捗に寄与する見通しが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今までの研究活動によって得られた成果については,学会発表及び出版等で社会に還元していく。 2.日本における研究不正の実態や防止方策等について,全国的なデータがないので,国公私立大学及び日本学術会議協力団体(学会),日本学術会議連携会員を対象に舌質問し調査を行い,統計的に全体動向と今後の方向を明らかにする。 3.研究倫理の確立に関し,日本学術会議等の全国団体の動向等の調査を引き続き行う。 4.国際的に進んでいるアカデミック・インテグリティ確立の動きを明らかにするために,文献収集と分析を引き続き進める。 5.研究会を開催し,各国調査の結果などを総合する。
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