2012 Fiscal Year Annual Research Report
大学教員に求められる教育能力の質保証と大学教育資格の在り方に関する国際比較研究
Project/Area Number |
23330248
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
川島 啓二 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 部長 (50224770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 浩章 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (10346695)
加藤 かおり 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (80323997)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 高等教育 / FD / 大学教員 |
Research Abstract |
本研究は、大学教員に求められる教育能力は、いかなるものであり、どのようにしてその質保証が図られるべきなのか、高等教育研究において未だ本格的な取り組みに至っていないこの課題について、我が国のFDの実践的文脈において重ねられてきた知見・経験の分析や開発的研究の成果、また、その制度的形態( 大学教育資格を持つ国と持たない国) に関わる海外諸国の実態や、大学教員の教育能力に関する基本的考え方に関わる知見の整理と分析、さらには、我が国の大学教員を対象とした、教育能力に関わる分析等によって、我が国高等教育にとっての重要課題である、大学教員の教育能力の在り方についての制度的展望を得ようとする試みである。 まず、研究進行上の混乱を避けるべく、「大学教育資格」の概念整理を行なった。本研究において「大学教育資格」とは、大学教育を実際に行うものの資格として、英国のPGCHEや北欧諸国の例のように、一定のプログラム修了を前提とするものを指すものとし、我が国のように、大学設置基準等において抽象的な能力要件を課するもの、あるいは、その他の国で広く採用されているように、博士や修士といった学位要件を課するものについては、「大学教員要件」として混同が起きないように配慮した。 その上で、上記の目的を達成するため、①国内の新任教員研修プログラムの検討と分析、②大学における教育職能の共通要素の整理(要素の基盤となる能力像の洗い出しと抽出、制度化の前提となる枠組みの概要等)、③大学教員資格の制度的整備については「先進」国である国々、具体的にはイギリス、オランダ、スウェーデン、フィンランドについて訪問聞き取り調査を行ない、制度上の知見に関する収集と整理・分析を行なった。その際、基準の焦点、認証の対象、認証機関等、基準の要素等を比較の指標とし、各国の制度の特徴と我が国への示唆となる知見を参照しやすいように留意した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進行している。大学教員資格の比較分析のための、主要「先進」国の訪問聞き取り調査は完了している。大学教員に求められる能力の要素も洗い出し作業も概ねできている。また、実際のFDの実践的文脈での前提として踏まえるべき我が国大学の事例についても概要を掌握できたので、総括的な分析に向けて準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、各国の実態の総括的分析を進めていくが、各国のFD担当者やその国際連携組織との交流を図りながら、グローバルな観点から大学教員資格の問題を定位することを心がけ、研究展開と視点の拡大を図りたい。
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