2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
赤平 昌文 筑波大学, 副学長 (70017424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
小池 健一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90260471)
大谷内 奈穂 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40375374)
鳥越 規央 東海大学, 理学部, 准教授 (40297180)
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Keywords | 正則条件 / 漸近展開 / 統計量 / 漸近十分性 / 推定方式 / 検定方式 / 切断指数型分布族 / 漸近正規性 |
Research Abstract |
正則条件が必ずしも成り立たないような非正則の場合には、正則な場合とは異なる結果が得られているものの未解決の問題が残されている。本研究において、高次漸近展開の観点から、推測における非正則構造のもたらす情報を把握し、それを統計量に取り込むことによって、高次まで漸近的に十分な性質を持つことができることを示す。また、そのような統計量に基づいて高次に漸近有効な推定方式や検定方式等を行うことによって、非正則な推測構造の解明を目指す。本年度には、まず、非正則推測において、漸近展開の観点からの問題の所在、その解決のためのアプローチについて、最近のEfron(2010)のモノグラフ、Klaassen and Venetiaan(2010)の論文等をよく検討した上で、或る非正則分布族の下で漸近理論の展開を開始した。特に、高次漸近展開の観点から元の標本が持つ全情報量を求め、極値統計量の高次の同時漸近密度から情報量を計算し、極値統計量そのものやそれとスコアから成る統計量の漸近情報量を得て、それらを比較することにより、分布から統計量への非正則性の伝播の状況を把握することが可能になった。また、切断指数型分布族において関心のある母数の最尤推定量の漸近正規性について、局外母数を既知とした場合と未知とした場合に、漸近展開を用いて示した。従来の漸近分布を使う直接的な方法とは異なっているとともに、漸近展開による方法はその最尤推定量の高次のオーダーまで漸近リスク等に比較をすることも可能になると思われる。漸近展開を用いることによって、高次のオーダーの項が果す役割が明確になり、各オーダーの項の交差状況の把握が比較的容易になるという利点も持っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだ研究の初年度ではあるが、研究の目的に向かって統計的推測における非正則構造の解明へのアプローチが探られ、その方法が定まりつつある。特に、切断指数型分布族における母数の推定量の漸近的性質に関する成果も得られつつあるので、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的に従って、切断指数型分布族において関心のある母数の最尤推定量等の漸近分散を、局外母数を既知とした場合と未知の場合に、高次漸近展開を用いて求め、1次のオーダーでは同等であるが、2次のオーダーでは異なるという構造を解明する方向で推進していく予定である。また、事前分布を想定するベイズ的な見地からも、適切な情報量を用いて推測の非正則構造の解明を目指して研究を遂行していく予定である。
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